ターン50 鉄砲水と天王星の主
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ャルさんの前に何度か現れてはこちらの邪魔をしてきたり、頭の中に直接話しかけてきたあの存在だ。
「どうやったかは知らないけど、あいつまでこっちについてきたっての……!?」
すぐに下に降りて応戦を……と立ち上がったところで、頭の中に独断専行の4文字がちらつく。そうだ、つい昨日だって良かれと思って暴走した結果、十代達に迷惑ばかりかけてきたじゃないか。ここで僕が駆けつけたら、またあの時の二の舞にならないだろうか。だけど、あいつをあのままにするわけにはいかない。あの十代ラブ(仮名)、放っておいたら何をするのか見当もつかない恐ろしさがある。
「……十代っ!」
せめて連絡だけでも、と叫んだ声に、しかし肝心の返事は帰ってこない。僕からの声は、向こうに届いているのだろうか?向こうでも僕と連絡が取れなくなって、なんとか連絡を取ろうと叫んでいるのだろうか?ザーザーと不調を訴えるトランシーバーを握る手にもついつい力がこもり、みしみしといやな音がする。
「くそっ!」
何をしだすかもわからないあいつを野放しにするわけにはいかない。だけど、今の僕の立ち位置であるこの場所を勝手に離れては、もし十代達に何かあったとしても誰も対応できなくなる。歯噛みしながらも、結局どちらに動くとも決めかねてしまう。
そんな僕の優柔不断さが、どうやら奴にはお気に召さなかったらしい。小首を傾げるような仕草をしてなかなか降りてこないこちらを見つめたのち、すっとその右腕を上げた。
次の瞬間、奴の真後ろの大地が割れた。巨大な亀裂の中からゆっくりと浮かび上がってきたのは、巨大な球体の岩。複雑な黄色の模様が彫りこまれた青い球体と、その中央に刻まれた顔。その瞳が鈍い光を放ち、アカデミアを睥睨する。
「な、何!?」
『これはこれは……大物のお出ましか。来るぞ、マスター』
チャクチャルさんの言葉通り、その意志を持つ球体は一定の高さまで浮かび上がると、そのままこちらに向けて進路を変えた。音もなく空中を滑るように動き、じわじわと校舎に近づいてくる。このままだと激突するだろうし、そうなったら相手はあれだけ大きな岩石の塊だ。被害がどれだけ出るかもわかったものじゃないけど、どう考えてもただでは済まないだろう。オレンジ色のそいつには顔はあっても口がないが、それでも何を言いたいかは理解できた。どうする?と、僕に問いかけているのだ。このままでは確実に被害が出るが、それでもなおまだそこに残り続けるのか、と。
「くっ……やってやる!せめて十代が戻ってくるまで、アカデミアは僕が守る!出てきて、グレイドル・イーグル!」
黄色い鳥の形をしたグレイドルの精霊を呼び出し、そのまま実体化させる。ここが精霊世界だからなのか、ありがたいことにいつもより僕にかかるカード実体化の負担が少な
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