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遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン50 鉄砲水と天王星の主
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精霊界の地球に不時着するはずが何かの拍子で僕らの次元に来てしまったからあんなに驚いたり恐縮したりしていたんだろうか。
 いや、待て待て。仮に三沢の話が正しいとしたら、ここは精霊世界の天王星ということになる。地球との距離がどれほどあるかは知らないが、次元を越えて元の宇宙に戻ったうえでさらに地球までの距離をどうにかしないと生きてあの島には帰れない。慌てて三沢の顔を見ると、それだけで何を言いたいのか伝わったらしく重々しい顔で頷かれた。

「ああ、俺が心配しているのもまさにその反応なんだ。今この学校でパニックによる暴動が起きるような事態になっていないのは、あまりにもこの現状に現実味が無さすぎる、という点が少なからず影響を与えていると思う。精霊世界なんてお前らみたいな例外を除いてほとんどの人間には縁のない世界だから、それも無理はないだろうがな。だが、地球と天王星の間に果てしない距離があることはみんなの常識の範囲内でもわかるはずだ。この事を知った時、ここの全員がお前のように冷静でいられるか……だから、これまでこのことは誰にも話さなかったんだ」

 お互いに何も言えないまま、時間だけが過ぎていく。その沈黙を最初に破ったのは、トランシーバーから聞こえる十代の声だった。

『ザザ……おーい、清明……うやく見つけ………ザザ……から今、この丘の向こ……行って中に入……ザザ……』
「も、もしもし十代!こちら清明、繰り返す、こちら清明!電波が急に遠くなったから、多分そっちに何かいる!」

 言いざまにさっきまで十代達が歩いていた方を見ると、ちょうど砂の丘のようになっているところで固まっている姿がなんとか見えた。今はギリギリ見えるけど、あの丘を降りだしたらこっちから視認することはもうできないだろう。そのことを追加で伝えると、とぎれとぎれながらもなんとか返事が聞こえてきた。ここで引くわけにもいかないし、なるべく慎重に行ってみるとのことらしい。

「十代……」
「なあに、あいつらなら心配はいらないさ。さて、俺もそろそろ計算に戻るかな。何か手伝えることがあったら遠慮なく言ってくれ」

 そう言って、三沢も校舎内へ帰っていく。確かにこれだけ距離が離れていたら、いくら心配してもどうしようもない。ここはあのメンバーを信じて、僕は僕なりにこの場所でどっしり待ち構えてるとしよう。動くものが視界からすべて消え、少し視線を外して辺りをぐるっと見回してみる。校舎の裏手、裏口のすぐ近くにそれはいた。最初は何かモンスターが近づいてきたのかとも思ったが、それがこちらの視線に気づいて上を向いた瞬間理解した。

「あいつ……!」
『マスター……!』

 あのオレンジ色に発光する、男とも女ともつかないが人型であることだけはわかる何か。間違いない、あいつがSAL研究所で僕とチャクチ
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