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遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン50 鉄砲水と天王星の主
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けれど、誰かこっちにステイして上からウォッチする役が必要だ、なんてジムに言われるとただでさえSAL研究所の件で負い目のある僕がそれを断れるわけもなく。
 ……今ここに残っているのは100人弱の生徒と僕の他に、トメさんや鮎川先生、クロノス先生といった教員勢。それにようやく目を覚ましたもののまだ大事を取って残ってもらうことにした万丈目とここから出るための方法を考えるため体育館の壁一面に計算式を書きなぐっている三沢。普通なら人数の少ない十代達を心配すべきなんだけど、なんだか嫌な予感がする。そもそも、何にレイちゃんは襲われたんだ?外で野生のモンスターにやられたというなら、まだわからなくもない。現に、僕もここに来た直後サンドモスに襲われたし。だけど学校の中で、ということは既に敷地内にその『何か』は入り込んでいて、しかもその『何か』には証拠を一切残さないでその場から立ち去るだけの知能がある。もしかして上から十代達を見張ってるより、校舎内の見回りでもしてた方がよかったかな。いや、でもこれ以上独断専行するのは堪えよう。ここの生き物はハーピィを除くと基本夜行性だし、昼間はきっと大丈夫だろう。

「なあ、清明。少しいいか?」
「え?」

 突然、三沢が目の前の砂漠を見つめながら口を開いた。僕の返事を肯定と受け取ったのか、ぽつぽつと恐るべき内容を語りだす。

「今からする話は、まだ誰にも言っていない。単なる俺の推論だし、それでみんなの不安を煽ることもないからな。だが俺自身も整理がついていない話だから、整理するためにも誰かに聞いてほしいんだ」
「……難しい話は専門外だよ?」

 シリアスな空気にそう問い返すと、少し緊張がほぐれたように微笑んだ。

「ふふっ、お前らしいな。別に、そこまで専門的な話でもないさ」
「んじゃまあ、僕で良ければ。カモンカモーン」
「ああ。まずお前は、俺がこの世界にはみんなよりも先に来ていたことは聞いてるか?」
「ツ……あー、なんとか博士の実験で事故があったんだって?一応大体は聞いたけど」
「ツバイン・シュタイン博士、な。まあそれはいいとして、この世界を歩き続けていたある日の夜、ふと空を見てみたんだ。今は昼だからわかりにくいが、ここは空気が澄んでいるから星がよく見えるんだぞ」

 メルヘンだねぇ、などと茶化す言葉が喉元まで出かかったが、何とかこらえてそれを飲み込む。割とシャレにならないこの環境をたった1人で歩き続けたんだ、間違っても茶化したりなんてできるわけがない。……今夜は星でも見ようかな。

「ここは異世界だ……皆はそう思っているようだし、その考えは間違っていないはずだ。実際に太陽は3つあるし、モンスターは常に実体化してうろついているわけだしな」
「うんうん」
「だからこそ、どうしても理解しがたいことがある。俺
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