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グランバニアは概ね平和……(リュカ伝その3.5えくすとらバージョン)
第54話:人の噂は風に乗って瞬く間に広がる。
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……あぁ!
木を隠すなら森の中へとは言うが、スキャンダルを隠す為に別のスキャンダルを捏ち上げるって事か!
確かにピクトルさんとの仲を疑われる事より、リューナとの仲を疑われた方がマリーとリューノからの疑惑を躱す事が出来る。

“美女とカフェでデートしてたって噂だけど誰と浮気してたのよ!?”と言われても、“馬鹿、あれはリューナだよ。城下で偶然会ったから、ケーキを奢ったんだよ。親元を離れて大変そうだったし、家族だからね!”とか言っちゃって、如何とでも言い訳が出来る。

最悪“俺はリュカさんの娘が全員好きなんだ! 目標は全部の娘を孕ませる事さ!”とジョークを言える。
仮に本気に取られても、リューナが生涯の伴侶以外とセッ○スするわけないし、そう皆に認識されてるから大事(おおごと)には発展しない。

「解ったでしょ? じゃぁはい、あ〜ん」
「あ〜ん? うん、美味しいなぁ!」
俺の視界が明るく開け、やっとケーキを堪能する事が出来た。美味しぃー☆

「流石リュカ家で一番の才女だよリューナは。如何する、お代わり食べるか? 何だったら毎週奢っても良いぞ!」
「ううん、要らない。これ以上食べたら太っちゃうし、毎週ウルフさんとケーキデートなんてゴメンだわ」
ですよね〜。

うん。何と言われようと構わない。
リューナの優しさに身を委ね、俺は周囲の連中に見せ付ける様イチャイチャ振る舞った。
“あ〜ん”は勿論“頬に付いたクリームを指で掬って食べる”等のアピールで、城に噂を広めてもらうのだ!

本当はキスの一つもしてやろうと思ったんだけど、先方にガッツリ拒絶されました。
柔らかい笑顔で『図に乗んなよ』って言われました。
ポピー姉さんの影が見えてチビリそうになりました!




(グランバニア城・カフェ)

リューナとの楽しいケーキデートを終え、俺は城に戻ってきた。
どの程度噂が広まってるのかを確かめる為に、部屋には帰らず城内カフェに直行する。
すると案の定、俺の姿を見るなりヒソヒソと会話をする若い連中が数人。

狙ったとは言え噂が広がるのが早い。
お陰でこちらも助かる事だらけだけど、仕事をしろと言いたくなる。
あとはレクルト辺りが噂の真相を聞きにやって来るのを待つだけだ。

するとカフェの入り口付近が騒がしくなり、何者かが俺の眼前へ早足で近付いてきた。
俺は平静を装う為に、その何者かには視線を向けず目の前に置かれたコーヒーだけを注視していたのだが、その何者かは断りも無く俺の前の席に座ると、澄んだ声で紅茶を注文しこちらの反応を待った。

ヤバいです。この声はヤバいですよ。
俺は心の中で『平常心』と言い聞かせ、視線をゆっくり目の前の人物に向ける。
そう……目の前の人物とは、紫のターバンを頭に巻き吸い込まれ
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