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グランバニアは概ね平和……(リュカ伝その3.5えくすとらバージョン)
第54話:人の噂は風に乗って瞬く間に広がる。
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緒にお茶をするなんて、俺は何て幸せ者なんだろうか。
願わくはニフラムで消え去りたいよ(泣)
「ほらぁ〜ウルフさん。そんな絶望的な顔をしないでケーキを味わって?」
無邪気な笑顔で自身の食べてるマロンケーキを一サジ取り、俺の口へ“あ〜ん?”と近づけるリューナ様……幸せすぎて涙しか出てこない。
「ピクトルさんがよく話してくれたのよ。超格好いいエリートと毎週土曜日に絵を描いてるって。もう恋する乙女のオーラ出しまくりで、その彼の事を語ってくれたわ」
“あ〜ん”されたケーキを俺が食べないと解ったのか、そのまま自分の口に入れると
お隣さん
(
ピクトルさん
)
との事を話し出す。
「彼女の話を聞く限り、絶対相手はウルフさんだと思ってたのよ。でもウルフさんって本当はヘタレでしょ。だからウルフさん的には恋愛感情がないんだと思って話を聞いてたんだけど……まさかここに来ての急展開だとは思わないでしょ。思わず隣から聞こえてくるプレイの音に聞き耳を立てちゃったわ、ご馳走様でしたぁ(笑)」
「ど、どう致しまして……」
「でもね、もしかしたら別の男に乗り換えたかもしれないから、ウルフさんの声に似てる男の顔を拝んでやろうと思って、出てくるタイミングを合わせて私も部屋から出たの。まぁ、そしたらこの状態ですけどね(笑)」
にこやかに、そして楽しそうに現状を話すリューナお嬢様……そして再度俺に“あ〜ん”をしてくる。
「あの……胸がいっぱいで……食べたくありません……」
丁寧な口調で拒絶の意を伝えると、色っぽく微笑んで自分の口へケーキを運ぶリューナ姫様。
メルキドに向けてルーラを唱えたら逃げられるかなぁ……
「もう。私は親切心でウルフさんを誘ったのよ。私からの“あ〜ん?”を拒否って良いの」
「そ、そっすね……脅迫者に逆らっちゃダメっすよね……」
絶望感から俺は頭を抱えて俯いた。
「失礼ね。私はウルフさんとピクトルさんの事を誰にも言うつもりは無いわ。まぁお父さんから“今日の出来事を端折らず話せ”と命令されたら全部言うけど、聞かれない限り言わないわよ、誰にも」
「そうですか……その間、俺は何をすれば良いんですか? 靴でも舐めましょうか……」
「だから脅さないってばぁ。ここに誘ったのも意味があってなのよ」
「意味っすか? 主従関係をハッキリさせるって事ですか?」
カフェのオシャレなテーブルに顔を打っ伏したまま、リューナご主人様の言葉に返事をする。
「違うわよ。周りを見てみなさいよ……このカフェは結構有名で、お城に勤めてる方々も利用する店なの。しかも大通りに面してるから、城勤めの兵士さんとかが沢山通るし、ウルフさんは城内で有名人だから目立つの。私も美女だから皆さんから視線を集めるし、お城に帰れば私達の事で噂になってるわよ」
………
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