暁 〜小説投稿サイト〜
竜から妖精へ………
第14話 初仕事は人探し
[3/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初
パンチが炸裂した。
 その拳は、正確にナツの顔面を捉えて、綺麗にめり込んでいる。そのまま、ナツは吹き飛んで、壁に衝突。……そのまま、目を回していた。

「ははは……やっぱり、バカだなアイツ。なんで懲りねーかなぁ?」

 先ほどまでナツと喧嘩をしていた筈のグレイ。
 なんで喧嘩が終わったのかは判らない。……判るのは、グレイは、離れたところで苦笑いしてる事だけだった。 最初の喧嘩はどうなったの……? とツッコミを入れるのは野暮だと言う物だ。基本的に、皆は、別に大した理由も無く、楽しそうに……喧嘩をしているのだから。

「む〜〜……なんだか、うるさくなったね? 折角の初仕事(ゼクトと一緒の!)だっていうのに〜」

 レビィはそうむくれていた。ギルドの中だから、2人きり……とはならないけれど、ちょっとしたデートの予定、そのつもりだったのだろう。それに茶々を入れられている気分になっている。

「あははっ……、朝なのにやっぱり、いつも賑やかだね? いいんじゃないかな? フェアリーテイルだもんっ」

 ゼクトは見渡しながらそう言う。 今も全く分からない。何故……初めからこんなに好きなのかが。そのフェアリーテイル、と言う名前に、なんで聞き覚えがあるのかもわからない。 だけど、判らないけれど、それでも判る事はある。それは、自分の気持ちだった。

「わからなくたって良い……か。今この瞬間だけで十分……だから」   

好きになるのに時間なんか関係ない。昔の事を思い出す事が出来なくても、今が幸せだから。

「ん?? ゼクト、何か言った?」
「いや……なんでもないよ」

 ゼクトは、そう言ってまた 笑顔を作る。
 こんな風に、自然に笑う事が出来る場所――それがフェアリーテイルだ。
 笑顔のまま、ゼクトは仕事選びを再開したそんな時。 服を、くいっ、くいっ、と引っ張られた。

「ん?」

 何だろうか? と振り返って見ると、そこには小さな女の子がいた。昨日の宴の時には見かけなかった子。自分よりももっと小さな子だった。

「あ……あの……」

 何か怖い事でもあったのだろうか?
 その少女は体を震わせていた。

「あっ! ルンちゃん! どうしたの?」

 レビィも少女に気づいて、しゃがみこんだ。

「ええ……っと…そのっ……」

 怖い事、と言うよりは、緊張をしている様に見えた。だから、落ち着かせようと ゼクトもしゃがみ込む。

「どうしたの…? 大丈夫?」

 少しでも落ち着いてもらえる様に、なるべく笑顔で、そして 目線を合わせて話を聞く事にしたゼクト。

 その時だ。

「っ! あっあのっ! お、おねがいっ 助けてっ!!」

 ルンと呼ばれる少女はゼクトに抱きついた。
[8]前話 [1] [9] 最後 最初


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ