Side Story
少女怪盗と仮面の神父 20
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たりするみんなが、憂う言葉を重ねていく。
「グレンデルはどうだ?」
「とりあえず、帰ってくるまで待ってろっつって、部屋に押し込んどいた。放っといたら狂い死ぬぞ、あれ」
「あー、目に浮かぶわ。ミートリッテに話を聴けりゃ手っ取り早いのにな」
「まったくだ。次から次へとなんなんだろうな、いったい」
(……私?)
「ちょっと。ミートリッテに話があるのは、私達もなのよ? 見つけたら、抜け駆けせずに教えなさいよね」
(は? え?)
「わぁってるよ、色ボケ女共。けど、お前らも少しはグレンデルの気持ちを考えてやれ。今のアイツの支えはアルフィンだけなんだぞ? 子供と大人、どっちを優先すべきかは、言うまでもないだろうが。頭を冷やして出直せ、このド阿呆!」
「な……! わ、解ってるわよ、それくらい! でもね、そんなにあの子が大切なら、遠海漁師の意地なんか早々に捨てて、とっとと近海漁師になれば良かったのよ! ティルティアが流産した時も、今回も、結局グレンデルが傍に居てあげなかったのが悪いんじゃない! 家に一人きりで取り残されたアルフィンが普段どれだけ寂しさに耐えてると思ってんの!? こんな時だけ父親面するなってのよ!」
(えっ、ちょっ……)
「んだとコラァ! 男手一つで子供を育てる為にアイツがどれだけの時間と労力を削ってると思ってんだ! 遠海漁師と近海漁師じゃ、就労金に天地の差があるってこと、知らんとは言わせねぇぞ!」
「遠海漁師の収益だってピンキリ、時期によっては就労金すら入らない! なのに、一回漁に出たら一ヶ月近くは戻れないばかりか、いつどこで荒波に呑まれて死んでもおかしくない! アルフィンの寂しさや将来を考えたら、片親だからこそ退くべき職でしょうが! そうしないってこと自体、子供の立場を理解してない証拠じゃない! アンタ達の言い分は毎度毎度、自分の体面を守りたいだけのわがままにしか聞こえないのよ!」
(…………え、と)
「体面を守って何が悪い!? 職無し、金無し、子が一人の鰥が何したって、お前ら女は、無責任にくだらねえ噂を流しやがんだろうが! アルフィンの食い扶持も父親の役もグレンデルのモンだ! 朝から晩まで恥も外聞もなく神父の尻だけ追っかけてるお前らに、子供を守る体面の重みが解るかよ!」
「なんですってぇえ!?」
(…………うーん…………)
背後で始まった、男女混合の泥仕合。
問いたいことは多々あるが、今顔を出せば収拾がつかなくなりそうだ。
物音を最小限に、ミートリッテはこそこそと一団の近くから離れた。
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