Side Story
少女怪盗と仮面の神父 20
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の敵だ。だったら進む。進んで、ハウィスに会う。
「教えてハウィス。貴女は何を知ってるの? どうして一言の相談も無くこんな事したの? 相談してって言ったのは、ハウィスのほうなのに!」
一歩。また一歩。村に近付く速度が少しずつ上がる。山と坂道が繋がる場所に着く頃には、痛みを忘れて走っていた。
「アルフィーン! 返事してー!」
「お父さんが帰って来てるんだよー! 早く、顔を見せてあげてー!」
(アルフィン!? お父さんって……遠海組が帰って来てるの!?)
草木を掻き分けて村に侵入したミートリッテは、木の影で呼吸を整えながら、辺りに響く呼び掛けを聴く。聞こえていたのは、アルフィンを捜す声だったらしい。
「どうして……」
アルフィンは毎日決めた時間に決めた用事を熟す、大人顔負けのしっかり者だ。おかげで「何時頃に何処其処へ行けば必ず会える」と、度々観光に出かけるミートリッテを除き、村の人達全員が彼女の生活を把握してしまった。声を張り上げて捜すなど、通常ではありえない。
ましてや、アルスエルナの領海端まで長期間危険な漁に出続ける遠海組の帰りを、毎回誰よりも待ち望んでいた少女が出迎えてないなんて。
「あっちは?」
「反応無し。四人共、何処へ行ったのかしらね? 自警団の面々だけでも戻って来てくれれば良いのに」
(四人? 自警団がいない!?)
近くにミートリッテが隠れているとも気付かず、坂道を行ったり来たりするみんなが憂う言葉を重ねていく。
「グレンデルはどうだ?」
「とりあえず、帰って来るまで待ってろっつって部屋に押し込んどいた。放っといたら狂い死ぬぞ、あれ」
「あー……目に浮かぶわ。せめてミートリッテに話を聞けりゃあなぁ」
(……私?)
「ちょっと。ミートリッテに話があるのは私達もなのよ? 見付けたら、抜け駆けせずに教えなさいよね」
(は? え?)
「わぁってるよ、色ボケ女共。けどな。お前らも少しはグレンデルの気持ちを考えてやれ。今のアイツの支えはアルフィンだけなんだぞ? 子供と大人、どっちを優先すべきかは言うまでもないだろうが。頭を冷やして出直せ、ド阿呆!」
「な……! わ、解ってるわよ、それくらい! でもね! そんなにあの子が大切なら、遠海漁師の意地なんか捨てて、とっとと近海組に移れば良かったのよ! ティルティアが流産した時も今回も、結局グレンデルが傍に居てあげなかったのが悪いんじゃない! アルフィンが普段、どれだけ寂しさに耐えてると思ってんの!? こういう時だけ父親面するなってのよ!」
「んだとコラァ! 男手一つで子供を育てる為に、アイツがどれだけの時間と労力を削ってると思ってんだ! 遠海と近海じゃ就労金に天地の差がある事、知らんとは言わせねぇぞ!」
「遠海組の収益
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