Side Story
少女怪盗と仮面の神父 20
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「……何かあったのかな」
ざわりとした悪寒に背中を押されて、一歩踏み出し……立ち止まる。
自分がこのまま戻って良いのか、迷ったのだ。
村は無事だった。ミートリッテは襲われた。
青年と切り離された後、誰かに追われている気配はない。
待ち伏せも、国境付近を警戒してる筈の警備隊による妨害もなかった。
まるで、ミートリッテの帰還を促しているかのように。
ハウィスの願いに反した村へ戻るという選択が『奴ら』の罠だとしたら、自分が不用意な行動を執った結果、村にどんな悪意が降り注ぐだろう。
多くの勢力に囲まれてるのに未だ捕まった気配がない『奴ら』を相手に、ミートリッテが一人で対峙して、凶行を止められるのか?
(……『奴ら』が何者でも海賊が潜んでる事実は変わらないし、村の人達は今も生きてる。依頼の期日はまだ過ぎてないんだわ。みんなを護りたいならシャムロックは絶対に戻らなきゃダメ!)
退いても進んでも同じ。
待っているのはネアウィック村の敵で、ミートリッテの敵だ。
だったら、前へ進む。
進んで、とにかくハウィスに会って、話を聴く。
「教えてハウィス。貴女は何を知ってるの? どうして一言の相談もなく、こんなことをしたの? 相談してって言ったのはハウィスのほうなのに!」
一歩。
また一歩。
村に近付く速度が、少しずつ上がっていく。
国境を乗せた山と坂道が繋がる場所に着く頃には、足裏の痛みなど忘れて走っていた。
「アルフィーン! 返事してー!」
「お父さんが帰ってきてるんだよー! 早く、顔を見せてあげてー!」
(アルフィン!? お父さんって……遠海組が帰ってきてるの!?)
草を掻き分けて村に侵入したミートリッテは、木陰で呼吸を整えながら、辺りに響く呼びかけを聴く。
村の外からも聞こえていたのは、アルフィンを捜す声だったらしい。
「どうして……」
アルフィンは、大人顔負けのしっかり者だ。
毎日決めた時間に決めた用事をこなし、予定が崩れることは滅多にない。
おかげで、何時頃に村のどこそこへ行けば必ず会えると、たびたび観光に出かけるミートリッテを除き、村人全員が彼女の生活を把握してしまった。
声を張り上げて捜し回るなど、通常ではありえない。
ましてや、アルスエルナの領海端まで長期間危険な漁に出続ける遠海組の帰りを、毎回誰よりも待ち望んでいた少女が出迎えてないなんて。
「あっちは?」
「反応なし! 四人共、どこへ行ったのかしらね? せめて自警団だけでも戻ってきてくれれば良いんだけど……」
(四人? 自警団がいない!?)
すぐ近くにミートリッテが潜んでいるとも気付かず。
坂道を行ったり来
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