暁 〜小説投稿サイト〜
銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百三話 同じ道
[3/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
有ったのか……。

「し、しかし、同盟を占領など出来るのでしょうか。イゼルローン要塞を失った今、不可能としか思えませんが」
ブラッケの言うとおりだ。占領できなければ何の意味も無い。

「間も無く彼らはイゼルローン要塞を経由して帝国領に攻め込んでくるでしょう。兵力は三千万を超えるそうです」
三千万……。それが攻め込んでくる。思わずヴァレンシュタイン司令長官の顔を見詰める。

「それを撃滅します。彼らに致命的な一撃を与えるのです」
「しかし、イゼルローン要塞が有ります。あれはそう簡単には落とせないはずです」

ブラッケがなおも抗議するかのように疑問を呈した。何処かで彼のいうことに反発したいのかもしれない。私にも同じ思いがある。同盟を征服すれば確かに帝国の改革が出来る。軍人の彼が気付いた。何故自分は気付かなかった?

「イゼルローン回廊にこだわる必要は無いでしょう。フェザーン回廊を使えば良い」
「!」

フェザーン回廊を使う? それは、それでは……。
「フェザーンを征服し、自由惑星同盟を占領します。新銀河帝国の成立です。宇宙を統一する唯一の星間国家ですね」

新銀河帝国……、宇宙を統一する唯一の星間国家……。私は呆然と目の前で微笑む司令長官を見ていた。隣でブラッケが唾を飲み込む。その音が私を我に返らせた。

「しかし、門閥貴族たちが改革に協力するでしょうか。同盟の占領に成功しても改革が出来なければ、司令長官が仰ったように内乱が発生しますぞ」
そうだ、占領しても改革が出来なければ意味が無い。ヴァレンシュタイン、私の疑問にどう答える?

「もし、陛下が崩御されると帝国では後継者戦争が起こるでしょう。そこで門閥貴族達を叩きます。完膚なきまでに。そして帝国内での改革を実施する」
「……」

後継者戦争……。ブラウンシュバイク、リッテンハイムを潰すと言う事か。と言う事は、司令長官はリヒテンラーデ侯と組みエルウィン・ヨーゼフを推戴する事を考えている。

「リヒテンラーデ侯も閣下と同じお考えなのでしょうか?」
私は疑問に思ったことを訊いた。目の前の人物はリヒテンラーデ侯の信頼が厚いと聞いている。しかし本当にそこまで両者の間に合意があるのか?

「それは、後継者の事ですか、それとも新領土?」
「両方です」
「両方とも私個人の考えです。ただ侯を説得する自信はありますよ」

リヒテンラーデ侯を説得する自信……。しかし説得できるのか? エルウィン・ヨーゼフを推戴するのは良い。だが社会改革に賛成するだろうか?
「どのように説得するのです。ぜひお教え願いたい」

「次の戦いで勝てば良いのです。帝国が同盟を支配する、これまでは夢でした。誰も信じてはいなかったでしょう。だから改革を必要としなかった。しかし今度勝てば夢
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ