暁 〜小説投稿サイト〜
SAO−銀ノ月−
第百十一話
[8/10]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
らの一撃において他はない。

「せっかくだから、少しは楽しませなさい!」

 そんな砦の如き堅牢さを誇るリズに対して、グウェンは太もものホルスターからクナイを取り出すと、リズの眼に向かって投げ放った。真正面から馬鹿正直に飛来するクナイなど、リズとて軽々とメイスで弾いてみせるが、その隙に忍刀を持ったグウェンの接近を許す。

「そらっ!」

「いっつ……!」

 リズが重装甲に覆われているにもかかわらず、グウェンの振るう忍刀はリズの皮膚を的確に抉った。装甲と装甲の隙間を狙った一撃は、重装甲など意味を成さずにHPゲージを嫌らしく削る。痛みの代用として感じさせる苦痛に顔を歪めながら、リズはメイスを振るうもグウェンは軽々とそれを避けてみせる。

「ほらほら、動かないとそのまま血まみれよ!」

「このっ……!」

 針を通すような一撃がグウェンから放たれるとともに、リズの鎧の下に血がにじんでいく。せっかく用意してきた、フィールドに出る用の鎧もこうなってはただの重りだ……とはいえ脱ぐわけにもいかずに、リズはソードスキルを伴ったメイスを振り下ろす。

「あら、遅い遅い」
 
 ソードスキルのライトエフェクトとともに振り下ろされたメイスは、大地に直撃しリズを中心にして地響きを鳴らす。ギリギリにメイスを避けてカウンターを狙っていたならば、地響きに巻き込まれていただろうが、グウェンは地響きの範囲外にバックステップしていた。発動しようとしているソードスキルがどんなものか読んでいる、という経験の差を感じさせるその動きにリズは歯噛みしていると、顔面に忍刀が迫るのを視界に捉えた。

「っつ!」

「そっちじゃない!」

 ソードスキルによって生じた硬直の最中、顔面に迫る忍刀を何とか鎧の部分で受けようとしていると、突如としてリズの身体は宙に浮いた。これ見よがしに顔面に迫っていた忍刀はフェイクであり、グウェンの足払いがリズの身体を中空に浮かばせた。

「キャッ――んのっ!」

「あははっ。……悪いけど、飽きたわ」

 浮遊する感覚を全身で受け止めながらも、ソードスキルの硬直が解けたリズがメイスを振りかぶるものの、あっさりとグウェンはそれを避けながら接近する。転んだような体勢となったリズが翼を展開するより早く、彼女を背中から支配する姿勢となった。あとはその無防備な首筋に、その忍刀を突きつけるだけで――

「飽きたとこ悪いけどこっちはね、まだ用事があんのよ!」

 ――だがグウェンの忍刀が首を貫通するより以前。前に転んだような体勢で浮かぶリズが、その視界に入れられたものは一つ。そのフラフラと揺れるものに、リズは必死で手を伸ばして掴み取った。

「これでもう、ふらっふらと逃がさないわ!」

 それはグウェンが自慢げに伸
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ