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SAO−銀ノ月−
第百十一話
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は、トンファーを武器としたプレイヤーで――一番最初にこの日本刀《銀ノ月》が斬り倒した筈だ。

「……誰だ?」

 不気味さすら感じさせるその人物に、俺はつい疑問の言葉を発していた。マントの男は答えの代わりだと言わんばかりに、フードから見える笑みをさらに深くしていて――

 ――その手には、銀色に光るナイフが握られていた。


「へぇ。なんだ、あなたたちだったの?」

「悪かったわね」

 そしてショウキがPK集団のギルドメンバーと戦闘を繰り広げている最中、リズも愛用のメイスを持って戦場にいた。相手はつまらないとばかりに溜め息を吐いた、ギルドリーダーであり今回の件の仕掛け人――グウェンだ。

「ルクスを殴って連れ戻すんじゃあなかったかしら?」

「それは他の友達に任せたの。あたしがぶん殴るのはね、アンタよ」

 自らがかなりの時間を賭けて作り出したメイスでもって、リズはそう宣言しながらグウェンに突きつけた。少し開けた森の中において、精練な気配が司る静寂がその空間を支配する。そしてつまらなそうな表情で髪を弄っていたグウェンは、そのリズの宣言を聞いた途端――声をあげて笑うことによって、その静寂にメスを入れた。

「あはははは! いいわねあなた! 笑わせるのは天下一品じゃない!」

「ッ……」

 確かに、そうグウェンが笑うのも仕方がない戦力差よね――とリズは奥歯を噛む。片や対人戦の経験もさほどない生産職プレイヤーに、デスゲームの二年間を人と争うことで生還した、生粋のPKプレイヤーだ。……それでもこいつだけは、この手でぶん殴りたいとこのポジションに就いた。

『危なかったら、いつでも呼んでくれ』

 ……なんて、ショウキは、自分だけにしか聞こえないぐらいに言ってくれたけれど――それくらい、みんなの前でかっこよく決めてみせろ照れ屋め――彼は彼でこのグウェン以外の全員を相手にしているのだ。いい加減、助けを求められるものか。

「どうせ意趣返しのつもりで、仲間がどっか隠れてんでしょ? 早く呼ぶことをオススメするわ」

「……さあね」

 ――もちろん、仲間たちなど潜んではいない。他のメンバーは、最も相手をする数が多い草原の囮部隊と戦い、ルクスを救出するためのメンバーだ。そのメンバーがこんなところにいるはずもないが、とりあえずリズは白を切っておく。どこかに誰か隠れている、と思ってくれていた方がありがたい。

「ふーん……ま、いいわ。そんなに構ってる暇ないから――さっさと死んでくれる?」

「お断りよ!」

 そうして戦闘が始まった。普段のエプロンドレスの上に重装甲の鎧を纏ったリズは、とにかくメイスの一撃を当てるべく狙いを絞る。リズがグウェンに適うところと言えば、その鍛え上げられた筋力値か
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