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衛宮士郎の新たなる道
第2章 Fate/Fight with me Seriously
第1話 新たなる住人
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を受け取った百代は、今だ衝撃を完全に拭いきれないながらも掃除をし始めた。

 「・・・・・・・・・・・・」
 「・・・・・・・・・・・・」

 居心地が悪い。
 何故かと言えば、トーマス・スティルウェルと名乗った巨漢にじっと見られているからだ。

 「あの・・・何ですか?」
 「ふぅむ。見れば見るほど美しい少女と思ってしまってな。如何なる理由があろうとも、嬉々として男の家に早朝から来て掃除をし始めるなど、一種の通い妻みたいなものかな」
 「なっッッっっっっ!!?!!???!!」
 「とは言え、庭の掃除だけでは通い妻と言うのも適切ではないか・・・ふむ?如何したのかね?」
 「なん・・・・・・お前の発言に、面を喰らうのを通り過ぎる程の衝撃を受けているのであろう!」

 自分をお前呼ばわりする声に向けて振り向くと、そこにはシーマと言う仮初の名に決まった爛爛と煌めく髪をなびかせる少年がいた。
 因みに、彼の鉤爪の様な手も銃刀法違反に引っかかるので偽装してある。
 勿論握手などをしたときに切り裂かれないように、感触の方も問題ない。

 「衝撃を受けるとは失敬な!彼女は非常に美しい少女であるが、女性であれば誰であろうと幾つになろうと褒める。ジェントルマンとして当然の姿であろう!!」
 「モノには限度があれば、時や状況と言うのもあるだろう。あと声のボリュームが一々デカい。近所迷惑になるであろう。マス――――シロウ達に迷惑を掛けるぞ」

 動きを一時停止させている百代の横で、衛宮邸の新たなる住人達はぎゃあぎゃあと言い合う。
 その隙にと、限定的な結界を張って掃除を既にあらかた終えた士郎に、スカサハが道場にてある話をしていた。

 「――――聖杯戦争が!?」
 「そもそもあの二体は、聖杯戦争というシステと枠組みの中で呼ばれた可能性があると言うだけじゃ。互いにセイバーとキャスターと呼び合っているのが良い証拠よ」
 「でもあれは、遠坂からの特殊な術式で――――」
 「もしかすれば特殊な術式だったのかもしれぬが、この世界に大聖杯や小聖杯が何処かにあれば、いとも容易くシステムに上書きされても可笑しくないぞ?」

 スカサハの言葉に押し黙る士郎。

 「とはいうモノの、この冬木市は勿論、川神や七浜にも小聖杯は無い。それは確かだ」
 「だったらそれは聖杯戦争では無いのでは?」
 「確かにそうとも言い切れるが・・・・・・・・・士郎、まさか気付いていないのか?」
 「何がです?」
 「左腕を見てみろ」

 スカサハに促されるまま衣服をまぐわって見たところで驚く。

 「これは・・・!?」
 「お前の記憶で覗き見たのが確かなら、令呪だな。間違いなく」

 スカサハの指摘通り、士郎の腕には令呪が刻まれていた。

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