暁 〜小説投稿サイト〜
ランス 〜another story〜
第3章 リーザス陥落
第91話 サウスの戦い
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ランスの指示については、注視していてくれ。タイミングを見誤ると、こちら側の損害がデカくなる可能性が高い。ハイリスク・ハイリターンだ」
「ゆ、ゆぅ!! 本気でやるっていうの!?」

 ユーリの言葉を訊いて、思わず声を上げるのは志津香だ。

「志津香。……相手側もしてくるぞ」
「っ……」 
「ランスの策は確かに無茶だ。……だが、狙い所によるし、難しいが、相殺できる可能性がある。それに――こちらとしても(・・・・・・・)、黙ってみてるだけじゃない」

 ユーリがそういって意味深に笑みを見せると同時に、志津香の表情が変わる。険しいものに。

「……また、無茶するつもりじゃないでしょうね……?」

 怒気を強める志津香。

『今の現状じゃ仕様がない』と言う部分は確かにある。

 ユーリがいなければ――志津香の言う《無茶》をしていなければ、自分達が全滅していたかもしれない、と言う事実も勿論あるだろう。だが、全てを負担させる、させていい理由には決してならない。

「大丈夫だ。……1人(・・)でするつもりはない。後、ランスの案を訊いて、志津香に頼みたい事がある」
「………」

『1人でするつもりはない』

 その言葉を訊いて、志津香の胸には温かい気持ちになるのは気のせいではない。

―――ずっとずっと、前を走って、走って――、待って! と声をかけても、なかなか止まってくれない。直ぐに離していってしまう。

 志津香は、思い起こせば、ユーリとはそうだった気がしていた。幼き日のころから、思い出したあの日からずっと。待っていてくれているけれど、それでも 前に、前に進み続けている。……自分よりも、自分達よりも。

 志津香はゆっくりと頷き、訊く姿勢を取り、説明を訊いた後。

「ユーリ。―――かなみからの合図だ」

 ふわふわと、飛んできたフェリスがユーリに言った。
 空高くから見ていたからこそ、家々の影から 炎……まではいかず、小さな火が上がっていた。単純な火事やヘルマン側の破壊工作ではない。確信できた理由があるのだ。

「無事で良かった。……フェリス、間違いないのか?」
あの火の字(・・・・・)……私は辞めといた方が良い」
「………ああ。成る程。間違いないみたいだな」

 フェリスの言葉1つで、間違ってない事が判り苦笑いしたユーリ。
 かなみが放つ忍術の1つについては、赤裸々に語っていた事がある。間違えて覚えてしまった事は悔やまれる様だが、それでも 見てくれは兎も角、業のスペックが向上していった事から、業の追及・向上に力を注いだ為にあの形になっているのである。

「ゆぅ。……さっきのだけど、本気で? まだ 一度も試した事、無いけど」
「ああ。試した事は確かにない――が、何度も見てる
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