第3章 リーザス陥落
第91話 サウスの戦い
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るだろう。険しい山道を歩くのも必然。鉱山都市とも呼ばれているサウスの町は、山の中腹に存在している為、越えなければ入る事さえできないのだ。
だが、地形を利用すれば、姿を隠しつつ 伺う事も出来る為、他の町よりも 情報は入りやすい。敵影の姿の確認も日が昇っている今であれば、問題ないだろう。
それに、こちら側は 空から偵察する事が出来る。
「フェリス――、どうだった?」
「ん。ユーリの言った通りだ。町の外には一兵たりとも出てない。……完全に市街戦の構えだ。町中だったら、あのデカい図体だからか、ちらちらと見えてた」
空からの目――それは、当然フェリスである。
今はまだ日も高い故、極論にはなるが、空に飛ぶ、つまり日の光に近づく行為は無理はさせられないと思えるが、フェリスは快く引き受けてくれていた。その事に、全員から感謝された。――悪魔なのに、人間からここまでの感謝をされた事など一度もない彼女は、やはり まだまだ戸惑いもあったが、それ以上に頬が熱くなる思いなのは言うまでも無く。
もう次第に当然の様に 受け答えしている自分がいたりする。
そして、ユーリが怒る理由も、はっきりと理解出来ていた。
レイラもそのフェリスの報告を訊いて、歯ぎしりをしていた。
「間違いない……、相変わらず 町を盾にするつもりよ。……そのせいもあって、大規模な攻撃は出来なかったから……」
確かに、火力を誇るチューリップ部隊はノースの町へと向かったが、リーザスの魔法部隊である紫の軍は サウス側へと向かっているのだ。遠隔戦において、有利なのは言うまでも無い布陣と言えるが、相手は 一般市民を盾にしている、と言っていい戦術をとってきており、大規模な攻撃魔法は大幅に制限され、白兵戦になった。
それでも、数では勝っている為、次第に圧倒していったのだが……結果は見ての通りだ。
「町の事はかなみを信じよう。……撃退した後、体勢を整える前に直行、っていうのがランスの案だ。敵さん側も――手段を選ばない手で来たんだ。もう一度攻めるとしても、慎重になってるだろう、と思う可能性が高い」
「………そうね」
淀みなく答えるユーリと頷くレイラ。
確かに、その線が濃厚だと言える。手痛い敗戦だった、攻撃の手段が読めなかった。まさか、自軍ごと潰す、などとは思えなかった。考えが甘かったと言わざるをえないが、それでも考えたくない事でもある。考えが交わる事はなけれど、互いに国の為に戦っている部分においては同じ筈だったから。(魔人と言う例外は除いてだが)
そんな時だった。
「え、ええ――――――っっっっ!!? そ、そんな事、出来る訳ないじゃないっっっ!!」
マリアの叫び声が響く。
まだ、町をはっきりと目視できる
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