第3章 リーザス陥落
第91話 サウスの戦い
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小の無数の岩。個人技で防ぐ事は出来ない訳ではない。こちらには、チューリップ3号と言う戦車もあるから、手段は沢山ある……が、一般人はそうはいかないのだ。
「ご安心を。サウスの町は、以前の大規模な地震があり、山が一部崩れ、崩落してしまった1件がありました。……記憶が正しければ、その安全策として、町には地下シェルターが各数備え付けられています。町の住人全員の人数を収容できる規模です。なので――」
「戦闘を始める前に、町の住人にそれとなく避難を促せば良い――と言う事か」
「はい。その通りです」
リックの話を聞いて、懸念が1つ解消された、と言えるだろう。
だが、問題点はまだある。
「……問題は、町には 油断ならぬ相手が駐留しているのだろう。把握されずに、住人に伝えれるかどうか、それだな」
清十郎は腕を組んで呟いた。
確かに町が今 どの様になっているのか、どういう状況なのか、それらが把握しきれていないのだ。真知子や優希も細部までは把握出来ておらず、不確定要素が多いのが現状なのだ。
戦闘が始まれば否応なく住人には伝わるだろう。自発的に避難をしてもらうのが良いか、少人数で侵入して伝達するのが良いか。
限られた手段を模索している時だ。
「ユーリさん」
ユーリの傍に、足音小さく、そして素早く近づいてきた。
かなみ、である。
「――私なら、敵に気づかれる事なく、町のみなさんに危険を知らせる事が出来ます」
かなみは、ユーリの目をまっすぐに見て、そう伝えた。だが、安易に首を縦には振れない。――町にいる相手が相手だから。
「まだ、不安要素が多すぎる。……かなみ1人じゃ、危険過ぎるだろう」
「いえ――」
かなみは、ユーリの言葉を訊いて、首を左右に振った。
「私は、普段より リーザス領内の情報を得る為に――、それなりの侵入経路を持っています。……あまり、誇れない過去の事です。……ですが、それを 今回に活かしたい。……私の過去の罪を――少しでも、少しでも償う為にも」
かなみは、俯き気味になるものの、最後は必死にユーリの目を見た。
そう、リアに命じられて、様々な悪事に加担した過去がある。情報収集も リアの願いから、命令から、と言うのが目的だった。町の女の子の情報収集……それが目的だった。時には、誘拐もしていたのだ。――それは、決して許されぬ過去の罪だった。
許されないのは間違いない。だけど――今は未来を。
かなみが、そう強く思ったその時だ。優しい感触が頭にあった。いつの間にか、ユーリは彼女の頭をなでていた様だ。
「―――よろしく頼む。かなみ。だが、決して無理はするなよ。……まだ、まだ リーザスがあるんだからな?」
「は、はいっ!」
かなみ
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