第23話「じゅうしょう」
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.?」
「今の遼は、他人のやる事でさえ全部一人でやろうとしてる。....遼だって、皆に頼ってよ。一人じゃ、できない事なんて山ほどあるんだから。」
...蘭の言葉で、少し冷静になる。
「....すまん。思った以上に俺も精神にキテいたようだ。」
「まったく、遼はそこら辺、鈍感だよね。直した方がいいよ?」
「...そうだな。」
....よし!少しすっきりした。これなら大丈夫だな。
「とりあえず、このまま大学まで行くか。そこで態勢も整えよう。」
「そうだね。」
「皆を呼び戻してくれ。そろそろ出発だ。」
今日中に着くのは無理か...。まぁ、万全の態勢で行った方がいいな。
「.....よし、行けるな。」
翌朝、俺は車を降りて大学付近を双眼鏡で確認した。
「(こっちだ。)」
「(了解。)」
合図を蘭に送り、蘭が皆を連れてくる。
荷物は最低限。後で車の物資を持っていければいいが...。
「....っと。」
門は開いていない。だから、塀をよじ登る。
まず、俺と蘭が上って、そこから皆を引き上げる感じだ。
「お、胡桃一人で行けるか?」
「運動は得意、だからなっ!」
俺が由紀、蘭が悠里を引き上げていると、胡桃が自力で登ってきた。
さすが陸上部。足の力は皆の中でもあるな。
「るーちゃん、えらいわね。怖くなかった?」
「......。」
引き上げてもらった悠里が、そう言う。
....言っている相手は、ぬいぐるみだけどな...。
やはり、聞いてるだけでも心苦しい。
「...よっ....と。」
「ありがとうございます。」
圭を引き上げ、全員を引き上げるのを完了した。
...というか、全員が塀の上にいるから危ないな。
「よし、降りるぞ。」
内側には梯子があり、それで降りる事にする。
...門を開けずに外に出るためか?
「.....奴ら、見当たらないな。」
「...そうだね。」
一足先に俺と蘭は降り、辺りを見渡す。
...奴らは一人たりとも彷徨い歩いていなかった。
「....だとすると、少しは希望を持てそうだな。」
「誰かが拠点として安全を確保してるって事だもんね。」
俺達の言葉を聞いたのか、皆も少し安堵する。
「...だが、気を抜くなよ。」
「...うん。こういう時、一番恐ろしいのは同じ人間だからね...。」
こんな極限状態になって、おかしくなる人間も少なくない。
まともに見えても、自分達の安全のために他を容赦なく切り捨てる奴もいるだろうしな。
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