第23話「じゅうしょう」
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てる訳じゃない。」
...それでも、心苦しいだろうな。皆は。
「...由紀だって、現実に立ち向かえるようになったんだ。悠里だってそうなる。」
「だと、いいけどよ...。」
暗い雰囲気のまま、話し合いは終わる。
結局は、現状維持だ。
「(...それにしても、由紀はよく一目みただけで大体察したよな...。経験者だからか?)」
胡桃たちでさえショックが大きいというのに、由紀は平然としていた。
...案外、由紀は凄い奴なのかもな。
「...とりあえず、胡桃たちは寝不足だし、もう少し寝たらどうだ?昨日からずっと悠里の事を考えて眠れてないだろう?」
「...そうだけど、遼はどうすんのさ?」
「俺は短い睡眠には慣れてるからな。まぁ、今夜はしっかり眠るさ。」
それに、もうすぐ大学に着く。そっちでゆっくり考えるべきだろう。
「..........。」
しばらく進んで、休憩がてら車を停めている。
俺は、その車の上に乗り、少しボーッとしていた。
「...遼!」
「...蘭か。」
後ろから蘭がよじ登ってきて、隣に座る。
「....結構、思い詰めてるでしょ?」
「...まぁな。何度だって思うさ。俺達は、こんな事で生きて行けるのかって...。」
状況はまさにバイオハザード。だが、ここは現実だ。
現実だからこそ、失敗はできない。やり直しもできない。
...失ったモノは、取り戻せない。
「....親父だったら、もっと上手く立ち回ってたんだろうな...。」
「...隼さん、かぁ...。」
親父...工藤隼は戦地を生き抜いた猛者だ。
生死が隣り合わせな世界を生きてきた親父なら...って、俺は何度も思っている。
「...親父、戦争って、いつもこんな危険と隣り合わせなのか?....だとしたら、改めて俺は親父を尊敬するな...。」
まだ、学生の俺の身には少し重い。
助けれた命なんて極少数だし、悠里に至っては今しがた精神がやばくなっている。
...こんなんで、本当にやっていけるのか?
「...遼は、頑張ってるよ。」
「っ.....。」
蘭が、優しくそう言ってくれる。
「皆を護るためとか言って、無茶してる。無理してる。...でも、その“守りたい”って想いは、皆に伝わってるよ。....それだけで、私達には充分だよ。」
「.....そう、か....。」
でも、それだけじゃダメなんだ。ほとんど救えてないようじゃ、それだけじゃぁ...!
「....遼!一人で全部やろうとなんてしないで。」
「っ、蘭..
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