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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百二話 帝国領侵攻
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「大丈夫です、ローエングラム伯を信じてください。今の伯なら宇宙艦隊を率いて反乱軍を打ち破るのは容易い事でしょう、問題はありません」

俺の言葉にリヒテンラーデ侯、エーレンベルク、シュタインホフ両元帥は顔を見合わせ、納得したかのように頷いた。
「では、反乱軍への対処は伯にお願いしようかの」

「必ず反乱軍を撃滅します、決して期待を裏切るような事はしません」
ラインハルトはリヒテンラーデ侯の言葉に力強く答えた。彼にとっても正念場だろう。

しかし今のラインハルトなら問題ないと言ったのは嘘ではない。訓練を共にした各艦隊司令官からも高い評価がラインハルトに付けられている。彼なら全軍の指揮を任せても問題ない。

後は今後の事をラインハルトと打ち合わせておく必要がある。フェザーン、宮中、カストロプそして同盟軍、それにどう対処するか。

俺がカストロプに向かったとなれば当然ルビンスキーはそれを同盟に知らせるだろう。同盟軍はオーディンを目指して突き進んでくるはずだ。

イゼルローン要塞からオーディンへは四十日程度。俺がカストロプで足止めされている間に少しでもオーディンに近づく。そしてラインハルトをおびき出して決戦する。

ルビンスキーが、そして同盟が決戦を望むのは間違いない。上手く行けばラインハルトの後に俺を撃破するという各個撃破作戦が取れるかもしれないのだ。必ず来るだろう。



帝国暦 487年7月 6日 
財務尚書、オイゲン・フォン・カストロプ公爵 自領に戻る途中宇宙船の事故により死亡。

帝国暦 487年7月 8日
帝国政府、故カストロプ公爵の生前の違法行為の調査を開始。

帝国暦 487年7月 9日
マクシミリアン・フォン・カストロプ、公爵位、遺領の相続を帝国政府に対し申請。

帝国暦 487年7月10日
帝国政府、マクシミリアン・フォン・カストロプの公爵位、遺領の相続を凍結。

帝国暦 487年7月16日
帝国政府、故カストロプ公爵の生前の違法行為を公表。マクシミリアン・フォン・カストロプの公爵位、遺領の相続を認めず。

帝国暦 487年7月20日
マクシミリアン・フォン・カストロプ、帝国に対し反乱を起す。

帝国暦 487年7月26日
帝国軍宇宙艦隊司令長官エーリッヒ・ヴァレンシュタイン上級大将、五個艦隊を率いマクシミリアン・フォン・カストロプの反乱鎮圧に向かう。



■ 宇宙暦796年7月29日 イゼルローン要塞 ヤン・ウェンリー


イゼルローン要塞を多数の艦船が取り巻いている。要塞から見る宇宙空間は何処を見ても同盟軍の艦艇ばかりだ。
「随分と壮観なものだ」

後方から声が聞こえたので振り返るとウランフ提督だった。ビュコック、ボロディン提督も居る。偶然では
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