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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百二話 帝国領侵攻
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つだろう。

一つは俺に対する意趣返しだ。ルビンスキーは今回の一件で俺にかなりコケにされた。恨みは骨髄に徹しているだろう。もう一つはラインハルトを甘く見ている。前回の敗北でラインハルトの能力を低く見ているのだ。

俺を反乱討伐に向かわせ、カストロプで足止めする。同盟軍への討伐に向かえなければそれだけで面子を潰す事になる。そして俺が同盟軍へ対処できなければ対応はラインハルトが当たる事になる。

ルビンスキーはラインハルトでは宇宙艦隊の統率は取れない可能性がある、また兵力も分散しているとなれば同盟軍が勝つ可能性が大きくなると見ている。

俺がその事を話すと皆ラインハルトを複雑な表情で見た。ラインハルト自身も不機嫌そうになる表情を懸命に堪えている。以前なら露骨に表したろう。

「カストロプ公爵領じゃが、備えはどうかの」
「妙な軍事衛星があるようです。あれはアルテミスの首飾りでしょう」
リヒテンラーデ侯の質問に俺が答えた。その答えに皆一様に渋面を作る。

「それが事実だとすると厄介じゃの」
それほど厄介でもない。俺は原作で壊し方を知っている。しかし一応難攻不落と言われている代物だ。ルビンスキーも奮発したものだが余程頭にきているのだろう。

「しかし、そう簡単にアルテミスの首飾りを配備できるのか、随分手際が良いようだが?」
エーレンベルク元帥の疑問は尤もだ。俺もちょっと驚いたがルビンスキーには用意する必要が有ったと俺は見ている。

「おそらく、帝国内でフェザーン討つべしの声が上がったときに準備を始めたのだと思います」
「?」

「最初は帝国の侵攻を防ぐために準備したのでしょう。しかしカストロプで反乱が起きた。ちょうどいい、此処で効果を試してみようと考えたのではないでしょうか」
「なるほどの」

ルビンスキーの考えは先ず俺の足止めをする。そして実際に使って効果があるならフェザーンにも配備する、問題点があるなら改善して使う、そんな所だろう。

「それで、どうするかの」
リヒテンラーデ侯が問いかけてきた。エーレンベルク、シュタインホフ両元帥が俺を見詰める。ラインハルトもだ。

俺の当初の予定ではメルカッツ提督にカストロプ攻略の司令官を任せるつもりだった。対同盟軍の総司令官にはラインハルトを起用し俺は帝都で万一のために備える……。

しかし乗ってみるのも悪くない。ルビンスキーを、同盟軍を油断させられるだろう。問題はフリードリヒ四世の寿命だが、こればかりは分らない。皇帝の寿命とルビンスキー、同盟軍の油断、どちらを取るか……。

「小官がカストロプに向かいましょう。反乱軍への対処はローエングラム伯にお願いします」
俺の言葉にリヒテンラーデ侯がラインハルトを一瞬見た後、俺を見た。大丈夫かと眼で訊いてくる。


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