第三章 [ 花 鳥 風 月 ]
六十話 百鬼夜荒 参
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出したくない黒歴史だったりするのだが。
戦力差が歴然である以上、選り好みしていられないとは言えやはり多少の躊躇はあったのだが仕方ないと割り切るしかなかった。
先程から襲って来ていた彼女も纏わり付いた闇の中ではまだ怨嗟を吐き出しているのだろう。
ルーミアが影を使役し群がってくる妖怪達を抑えている最中――――彼女のすぐ近くに何かが着弾し黒い湖に激しい飛沫を上げる。
ルーミアは頭痛を抑えるかの様に額に手をやり大きく溜息を一つ吐くと、着弾した地点へと移動し泉の中へと手を突っ込み沈み込んだ何かを引きずり上げ、
「………こっちが必死にやってる時に何やってんのよ!アンタはァァァァァッ!!」
引き上げた人物の耳元で戦場全域に轟くのではないか、と思わせる程の声量で罵声を浴びせる。
「!!み、耳がァァァァァ!耳がァァァァァッ!
……いや〜僕も真面目にやってるんだけどね、萃香といいあの子といい……本当に嫌になるよ、ハハハ…」
その人物――――虚空は相も変わらずな笑みを浮かべそう弁明するが……そんな言葉でルーミアの怒りが治まる訳など無く、彼を射抜く視線は更に鋭さが増した。
「大丈夫なんでしょうねッ!アンタの身勝手に付き合ってあげてるのよッ|!確りしてほしいわよ、全く。
……それにしても……アンタはいつも以上に変よ?何か隠してない?」
ルーミアの言葉には怒りと共に虚空の違和感への憂慮の念も垣間見え、それに気付いた虚空は、
「…ルーミアが僕の心配を……何だろう?この心の奥から込み上げてくる様な感じは?……これは…感動?」
鳩が豆鉄砲を喰らったかの様な表情を浮かべる虚空を見たルーミアは、呆れとも怒りとも取れない表情で頬を引き攣らせながら、
「……少しでもアンタを心配した私が馬鹿だったわ」
「ルーミア……そんなに自分を卑下しなくてもいいんだよ?」
「誰のせいだと思ってるのよッ!!」
「?」
「お前だァァァァァッ!」
怒声と共に繰り出されたルーミアの怒りが籠もった鉄拳が虚空の頭部へと鉄槌の如く振り下ろされ、その一撃を受けた虚空は黒い沼へと再び身を沈めた。
「…………漫才は終わったかい?」
虚空とルーミアのやり取りに終止符を打ち込む様にかけられた言葉に、二人は台詞を吐いた人物へと視線を向ける。
そこに立つのは額に一本の角を持つ鬼の女性――星熊 勇義。
その身には目をこらさなくても感じ取れる程の烈氣を纏い、二人を見据える瞳には冷た
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