第10話 叶えて欲しい
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る。
「りんはまだよくわからない。りんは楽しければなんでもいいにゃ♪」
「確かに進路を決めるのは大変だもんねぇ......というか流石に凛ちゃん近くない?」
「にゃ?」
僕に指摘され、凛はきょろきょろとあたりを見渡す。
凛に自然と攻め寄られた僕は椅子の背もたれを後ろへ...後ろへ、と下げるもかなり限界が来ている。
それでも尚接近を止めないから僕と凛の顔はキスする目前まで来ている。
そして、ようやく凛はそのことに気づくとすっと顔を離す。
顔を赤らめているのはいつもの事だけど、違うところと言えば視線を逸らさないところ。
「ねぇ春くん」
いつにも増して甘い声で僕の名前を呼ぶから心臓の鼓動が早くなる。
あまりそういうことには鈍感だと二人に言われっぱなしだけど、その鈍感な僕でも流石に今の凛ちゃんの表情を見て鼓動を早めないほど、僕はバカではない...と思う。
「なに?」
「...ううん、なんでもないにゃ」
「なんでもないって...」
「ただ、今日はいつもより春くんに甘えたくなっちゃっただけ。この前喧嘩して、仲直りしたけどなんだけど、まだまだ寂しいんだ...なんでだろう」
じっと僕の顔(のどこか)を見つめているけど、心は彷徨っているような気がする。
この前の喧嘩とは当然僕が先輩方と仲良くお話ししていたせいで凛ちゃんに嫌な気持ちにさせてしまい、そのことに気づかずにいたこと。
「だから今はすごく...春くんに甘えたいにゃ。いつもはりんが春くんを引っ張って迷惑かけてばかりだけど、今はぎゅって抱きついて春くんの温もり感じていたい。りんの春くんはちゃんとここにいるって...りんの大切な人はずっと傍にいるんだって」
「僕はずっと凛ちゃんの傍にいるよ。喧嘩したってそれはできないし、つるすもりもないから」
まるで本物の子猫になったかのように僕の胸板にスリスリと顔をうずめる。その彼女の頭をゆっくり撫でると花陽とはまた違った新たな発見をする。
(そういえばあまり凛ちゃんとこうしてくっつくことなんてなかったなぁ......)
花陽とはよくあることなのだけど、凛は中々そういう感じにはならなかった。別に彼女との距離を置いているというわけではない。ただ、元気に走り回ってる凛ちゃんを追いかけて心配する父親のような感覚になっていたからなのかもしれない。
だからこそ、花陽と同じような事を凛とするとなんだかむずむずと胸がかゆくなってしまう。
「春くんあったかいにゃ〜」
「凛ちゃんは思ってたよりずっと小さいね」
「む?それはおっぱいの事を言ってるのかにゃ?」
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