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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百話 作戦会議
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十艦隊:ウランフ大将
第十二艦隊:ボロディン大将
第十三艦隊:ヤン中将

本国には三個艦隊が残る事になった。

第三艦隊:ルフェーブル中将
第九艦隊:アル・サレム中将
第十一艦隊:ルグランジュ中将
(第六艦隊はヴァンフリート星域の会戦で全滅して以来欠番になっている)

第三、第九艦隊が残ったのはティアマト会戦で大きな損害を受け、編制が終了したばかりで錬度に不安が有るからだ。似たような立場の第十三艦隊が動員されたのは敵の弾除けにでも使われるのだろうともっぱらの評判だ。それ程私は宇宙艦隊司令部の受けが良くない。

午前十時前に統合作戦本部長シトレ元帥が首席副官マリネスク少将を伴って入室すると直ぐに会議は開始された。


「我々は軍人である以上、赴けと命令があれば何処へでも赴く。ましてゴールデンバウム王朝の本拠地をつく、と言うのであれば喜んで出征する。しかし雄図と無謀はイコールではない。この遠征の戦略上の目的が何処にあるのかを伺いたい」

ウランフ大将が疑問を呈した。さらに、作戦は短期的なものなのか? 長期的なものなのか?  帝国の一部を武力占拠するとすれば一時的にか恒久的にか、それとも帝国軍に壊滅的な打撃を与え皇帝に和平を誓わせるのかを問いかけた。

「大軍を以って帝国領土の奥深く侵攻する。それだけで帝国人どもの心胆を寒からしめる事が出来ましょう」
それがフォーク准将の答えだった。寒からしめる? 何の冗談だ?

「では戦わずに退くわけか?」
「それは高度の柔軟性を維持しつつ、臨機応変に対処する事になります」
相変わらずウランフ大将の問いに対するフォーク准将の答えは抽象的で漠然としていた。

「要するに行き当たりばったりと言う事ではないかな」
ビュコック大将の皮肉に溢れた声がフォーク准将の顔を歪めさせた。

しかし、どうやら本当に作戦らしいものは無い様だ。司令部が好き勝手にやりたいだけ、そういうことか。ヴァレンシュタイン相手に危険すぎる。

「帝国領内に侵攻する時期を、現時点にさだめた理由をお聞きしたい」
どう答える? 政治家の支持率アップのため? 今のポストを守るためか?

「戦いには機と言うものがあります。それを逃しては結局運命そのものに逆らう事になります。後日になって悔いても時既に遅しと言う事になりましょう」

冗談としか思えない答えが返ってきた。本気か?
「つまり現在こそが帝国に対して攻勢に出る機会だと貴官は言いたいのか?」

「そうです。帝国はイゼルローン回廊をガイエスブルク要塞で塞ごうとしています。何故でしょう? そう、彼らは同盟の攻勢を恐れているのです」
フォーク准将は周りを見渡し思わせぶりに話した。

「敵の司令長官は病弱で前線に出られない体です。此処一年半ほど前
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