東京冬木同郷会主催パーティー
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夢を見た。
それは忘れられない夢。
忘れてはいけない夢。
私の罪の証。
「この国の民の多くは、あなたがた反乱軍を侵略者と思いこんでいます。
それゆえ、本土での戦いはあなたがたにとって、つらくきびしいものとなるでしょう」
その呪いの言葉を理解するのに時間はかからなかった。
雪原の戦場で兵たちは寒さに震える。
そして、解放戦争と信じていた大義がここでは侵略者に変わる。
「出ていけッ!ここはおまえらが来る所じゃないッ! 」
「我らはおぬしたちのような侵略者に屈服したりはせんぞ」
「貴様ら野蛮な反乱軍なんぞにこの国は負けない!」
住民の物資提供拒否が兵たちと住民の更なる悪感情を招き、兵たちは寒さだけでなく飢えと、敵対的住民のゲリラ攻撃に悩まされる事になった。
その一方で魔術師の操り人形と化した哀れな女帝は暗黒道に身を捧げて、悪魔たちをどんどん戦場に送り込んでいる。
戦線が膠着から劣勢、崩壊に変わるのは時間の問題だった。
「待ってくれ!
それでは民が……」
この国出身の姫騎士が私に怒鳴る。
彼女にとってこの作戦は、女帝の暗黒道とさして違いはないだろうからだ。
「では、このまま負けるというので?」
あくまで冷酷に言ってのける。
この作戦は私の独断という形にしている。
戦いが終わった後に統治する王を、英雄を傷つけてなるものか。
悪役が必要だった。
「全ての悪名は私が背負います!
今だったらまだ勝てるんです!
ただ、女帝と同じ暗黒道に堕ちたと罵られるだけで」
姫騎士は動かない。
負けてしまえば、暗黒の時代に戻るのは彼女が一番分かっているからだ。
既にこの国の姫騎士をリーダーしていた良識派と呼ばれる派閥は粛清されつつある。
戦後の統治を考えても、彼らをこれ以上殺すわけにはいかなかった。
私は白銀の竜の背に乗る。
概念変更で爆誕したこいつが切り札となろうとしていた。
こいつの心配そうな瞳を見て、無理に笑顔を作った。
「大丈夫。
心配しないで。
ぽち」
ぽちの背に乗って大空へ羽ばたく。
空は何処までも青く、大地は何処までも白い。
ぽちは、バハムートと呼ばれた別ゲームの化物は私を乗せて高く高く飛んでゆく。
「やっちゃえ。
ぽち」
その日。
この国の白い大地は空からの炎に焼かれた。
数個の都市と数万の兵と民を巻き込んで。
我々の戦いの勝利が決定したのはこの無差別爆撃による敵軍主力の壊滅と、兵民の士気崩壊、そして都市壊滅による兵站の崩壊があげられる。
この炎は女帝と魔術師を倒すまで十数回大地を焼き、この国の民に怨嗟とそれ以上の無力感を植え付けることになる。
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