東京冬木同郷会主催パーティー
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そして、この国の女王となった姫騎士は決して私に口を開くことはなかった。
目が覚める。
懐かしい夢を見た。
それは忘れられない夢。
忘れてはいけない夢。
私の罪の証。
「きっと聖杯戦争なんてものに関わっているからね。きっと」
ベットから起き上がって軽く頭を振る。
壁に張り付いていたぽちが私の背中をよじ登り、ぺちぺちと私の頭を叩く。
心配してくれているのだろうか。こいつは。
「大丈夫よ。
ぽち。
おはよう」
カーテンを開けて視野に世界を映す。
なんて幸せなのだろう。
こんなにも争いがないなんて。
なんて幸せなのだろう。
だった数百人の人間の死で『戦争』なんてのたまわっている魔術師達は。
日本の中心である東京には、必然的に同郷会というものができる。
同郷の人間が集まり、互いに協力し交流をするというやつで、そこそこの歴史があるために結構影響力は侮れない。
今日はそんな会の一つである『東京冬木同郷会』にお呼ばれされる事になっている。
「めんどくさいですね」
「これもお仕事ですよ。
絵梨ちゃん」
今回の聖杯戦争における関与だが、実は名前を隠してはいない。
メインで呼ばれた若宮分析官の今回の表向きの役職は、『文化庁文化財部参事官補佐』。
内調なんかに居て、こんな所でお仕事している人がキャリア組でない訳がない。
穂群原学園の校長とお話した時に名前は出しているので、手繰れば見える名前なのだ。
そんな訳で、今日も若宮分析官はスーツ姿である。
「そういう絵梨ちゃんにだって招待状が届いているんでしょう?」
「ええ。
神奈の事務所の方に」
私の場合、表の処理要員として既に言峰綺礼氏と対面している。
彼から情報を聞き出す事ができるならば、私の名前は簡単に分かる。
という訳で、私は控えめのインフォーマルドレスを着ていたり。
問題は、そこから私達を捕まえる事だが、相手側にも表のコネが使える連中が要るらしい。
護衛つきのセダンの後部座席でパーティ衣装のままで若宮分析官は私たちに招待状を出してきた犯人を探る。
「この招待状、冬木市長からなのよ」
「へぇ。
私と同じですね」
穂群原学園に冬木市長の娘である氷室鐘が通っている。
彼女と友人関係を結んでいる人物は既にチェックしている。
多分、これを仕掛けたのはそういう関係者なのだろう。
「何か仕掛けてくるかしら?」
「どうでしょうねぇ?」
表の世界で魔術で攻撃するというのは神秘の暴露につながるから、そもそも考慮すらされない。
だが、あえて残した名前を手繰って、それは私達を呼び出した。
そのセンスに敬意を払うのな
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