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世界最年少のプロゲーマーが女性の世界に
外伝1 国別対抗戦予選リーグ編 1話
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つ唯一の連絡手段に気づく。そしてある事にも気づいた。

 ―――……まさか、こいつら唯の馬鹿か? 普通こういうのって連絡手段を無くすのが基本だと思うんだけど。いや、僕のような子供が携帯電話を2つ持っているとは思わなかったのか。

 鬼一には2種類の携帯電話がある。仕事用とプライベート用の2つ。仕事用は会社から渡されてズボンのポケットに入れていたが今はない。間違いなく奪われたのだろう。しかしプライベート用は今着ているパーカーの内ポケットに入れている。

 ―――なんとかしてこれを出さないといけないんだけど、両手はガムテっぽいので固定されているからまずはこれを外さないと。

 出入り口付近に固まっている連中の動きを注意しながら身体を僅かに動かす。

 ―――何か、何か、何でもいいからこれを切れそう。もしくは剥がせるようなものは……。

 カッターとかハサミか何かあればよかったのだが、室内が暗いということもあって見つけることは難しい。かといって探すために迂闊に動いてはバレるかもしれない。

 ―――……いや、待てよ。手首は固定されているけどそれだけだから持つことが出来れば操作は出来るんだ。それなら。

 別の出入り口を探すのは一端諦める。

 横に倒れた体勢からうつ伏せへ。そこから腰を上げて身体を左右に小刻みに振る。傍から見ればかなり情けない体勢だったが背に腹は代えられない。今はとにかく内ポケットの中にある携帯電話と取り出さなければならなかった。

 ―――……あと、少し……っ。

 ゆっくり、ゆっくりと内ポケットの中から携帯電話がズリ落ちる。

 ―――よし、……うっそ!?

 取り出すことだけを考えていたためか、取り出した時のことを鬼一は何も考えていなかった。

 それは携帯電話がポケットから『落とした』時の『音』だ。

 とても小さくはあったが、携帯電話と地面が接触した音が響いた。その音に鬼一は慌てて最初の格好に戻る。携帯電話は自分の身体の下に隠すようにしてた。
 おそるおそる出入り口の様子を観察する。幸いなことに連中は気づいていなかったのかまだ話していた。

 ―――……怖かった。ラッキーとしか言えない。

 身体を僅かに起こして両手を身体の下に差込み、携帯電話を取り出す。操作の際は明かりは非常に怖かったがこのままだと最悪の結末が待っているようにしか感じられなかった。
 両腕の自由はほとんどないが携帯の操作程度はほとんど問題にならない。右手で携帯電話を持って左手で連中から少しでも見えないように隠す。

 ―――……先ずはアヤネさん達に連絡を。

 メールを新規作成。文面は簡潔にして要点だけを記載する。『かいじょうないのそうこ たすけて』。たったそれだけのシンプルなメール。アヤネ
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