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世界最年少のプロゲーマーが女性の世界に
外伝1 国別対抗戦予選リーグ編 1話
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ら面倒なことになるわ。厄介なことになる前にさっさと解放したほうが……」

「馬鹿ね。今解放したら私たちが捕まってしまうじゃない。解放するなら当分先よ。それこそあの女をトップに立たせてから」

「この会場の古い倉庫は使われなくなってから大分経つから人が来るなんてまずないわよ。仮に来ても1人2人くらい黙らせるくらいの武力は持たせてあるから大丈夫」

「少なくともの売女は人質取られているんだから何も出来やしないわ。あの女にはトップに立ってもらう。その障害は今回みたいに排除してしまえばすぐよ」

 ―――なんの、……話をしているんだ?

 ぼやけた意識の中で鬼一は会話を聴き、その意味を理解しようとする。

「で、この子供はどこで解放するの? 少なくともこの大会が終わるまでは解放しない方向でいいわけ?」

「あんな一撃を入れられたらまだしばらくは起きないわよ。このまま放置で構わないわ。大会が終わって逃げる時に証拠を全部回収すればいいし、そのガキも有名なんでしょ? だったら大会が終わって姿も表さないようなら誰かが探しに来るわ」

 まだ意識がハッキリと取り戻しているわけではなかったが1個だけ理解できた。つまり、目の前にいる連中は自分を試合に出さそうとしないということ。

 となると鬼一が考えることは1つ。どうやってここから脱出するか。

 緩慢な動きで眼球を動かして周りを見渡す。視界はまだ霞んでいるが時間が経つごとにクリアになっていく。一刻も早くここを出て試合に備えなければならないし、マスクを被っているこの連中がこれ以上何かを仕出かす前に防ぐこと。
 鼻の奥が小さな痛みと共に痺れ。多分埃が原因。周りに置いてあるスコアボードや畳。バレーボールなどで使うポールなどが置いてある。そして小さくはあったが歓声と実況の声が確かに聞こえた。そのことから会場内の何処かの倉庫なのは間違いない。

 自分が転がっているのは倉庫の一番奥。鬼一の位置からは出入り口が1つしか見えない。そこには自分に暴行を働いた連中もいる。つまりそこから入ってきたのだろう。倉庫自体も大きいのか鬼一と連中の間の距離は開けている。室内が暗いこともあって多少動いても気づかれにくい。
 そして、ここがもし倉庫なら裏口のようなものがあっても不思議でもないし子供1人が通れそうな抜け口のようなものがあるかもしれない。それさえ見つけられればなんとかなるかもしれなかった。が、

 ―――ダメだ。この態勢じゃ思うように見渡せない。いっそのこと、この荷物の中に隠れるか? そしてやり過ごす―――。違う。そんなことしても向こうは僕の姿が見えなくなったら間違いなく徹底的に僕を探すに違いない。

 思考を続けていく中で鬼一は気付く。

 ―――……そうだ。携帯電話。

 自分が持
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