外伝1 国別対抗戦予選リーグ編 1話
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世間では女尊男卑が当たり前になってきているが、e-Sportsにおいては極めて例外的な状況だ。
それは女性のトッププレイヤー達がそんなものを認めていないということもあるし、数多くいるプロゲーマーを支援しているスポンサーの大半が『骨』のある企業が多いということもある。
模範となるべき人間たちがその姿勢を徹底しているからこそ、下の人間たちにもその意識を伝播させることができるのだ。故に、この世界に女尊男卑や男尊女卑と言った考え方は蔓延していない。ある意味では真の平等が維持されている。
「……まさか、女尊男卑なんて最高に下らないものをこの世界に持ち込むためにこんなことをしたの?」
「あら、ISを動かせない男なんている意味なんてないでしょう? ISを動かせる女性こそが最上であり、至高の存在。その女性が無能な男と横並びの世界なんて一体なんの価値があるの?」
その言葉に思わず笑ってしまう。下らないと。
「……何、笑ってんのよ!」
そもそも、自分一人を潰した程度でこの世界を根底から覆せるわけがない。自分たちの世代がそれを良しとしなかった。その考えを第2世代に受け継ぐことが出来て、それを実践してくれている。そして、新しく出てきたプレイヤーたちにもその芽を植えているのだ。
簡単に潰されるほどこの世界がヤワではない。もしそんなヤワな世界なのであればとうの昔に潰れている。
自分1人を標的にしたところで根底を崩せるはずもない。
故に彼女は次の試合を全力で勝ちにいくことを誓う。家族を救い、こんな愚行を必ず止めてくれる人たちがいることを信じられるから。
「本当に何も知らないのね。この世界を作ってきた人たちの情熱や思いを。そして、この世界に救いや希望を持ってくれている人たちの祈りを。そんなものでひっくり返されるほど、この世界に全てを賭けて戦っている人たちは甘くはないわよ」
足で胸を圧迫されるがそんな痛みなど気にもならない。
「私は家族を助けたいから次の試合、確かに勝ちに行くわ。でも、それでアンタたちのような連中が何かを成し遂げられるはずがない」
だが、彼女の予想を遥かに超えた出来事がこれから起きようとしていた。それこそ、言葉を無くすほどの。
―――――――――
「……試合が始まるまで、あと2時間後か」
鬼一は無機質な瞳で時計を一瞥しどうしたものかと考える。選手控え室で時間を潰してもいいが確実に人がいるだろうし、控え室は殺気立ってるからこちらも疲れてしまう。
―――今頃、別グループの代表を決める試合をしているんだろうな。
鬼一が1人でいるホール内は無人であり、広いホール内で1人しかいないと言うのは寂しさを感じさせるだろうが、普段から1人でいる鬼一からすれば気にするものでなかっ
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