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世界最年少のプロゲーマーが女性の世界に
外伝1 国別対抗戦予選リーグ編 1話
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聞こえないような音量でアヤネは呟く。その呟きは不安よりも懐かしさや安堵感の強いものだった。

―――――――――

 世界初の国別対抗戦ということもあって会場は従来よりも極めて大きな箱が選定されており、予選であるにも関わらず1万人を収容することが出来る会場。
 試合が実際に繰り広げられる舞台と観客席のあるアリーナ。3人目の代表者がもうすぐ決まるためか会場は既に埋め尽くされていた。舞台とアリーナが埋まっているためかホールを始めとしたそれ以外の場所には人の姿が見えない。
 会場の中にある小さな倉庫。そこでは、後に一つの事件となるキッカケが生まれていた。

「分かったな。絶対に勝つんだ。お前に拒否権は存在しねえんだからな」

 やけに機械的な声が投げかけられる。明らかに生身の人間の声ではなかった。ボイスチェンジャーか何かを通した声。

「……ぐっ……!」

 ギシリ、と胸元を押さえている足の圧力が更に強くなる。その圧力に思わず苦悶の呻き声が漏れた。だが抵抗することすら出来ない。身体を倒され地面に全身を押し付けられているだけなら抵抗は出来た。
 しかし倒れている女性の目の前に突き出されている、携帯の画面に映し出されている1枚の画像が原因で抵抗する意志を根こそぎ奪い取っていた。
 そこに映し出されているのは男にとってe-Sportsとは比べられないほど大切な人たち。自分の最愛の夫と2人の子供がそこに映し出されていた。

「安心して。アンタが無事に勝ってこの代表になればこれらは開放してやる」

 ―――嘘を付け。

 自分を踏みつけている人間を見て毒づく。自分を囲んでいる人間たちはそれぞれマスクを被っていて顔が分からないようになっており、ご丁寧に体格すらも分からないようにコートを着ている。
 最初から開放する気なんてないことくらいは見抜ける。目の前の人間たちは金という金をしゃぶりつくすまでは絶対に自分を手放すことはないだろうと思った。

 この国別対抗戦はe-Sports史に残るほどの大会になる。規模も賞金も今までの大会とは比べほどにならないほどだ。最大で1億ほどだった優勝賞金だが、国別対抗戦の予選だけでもこれ以上の賞金がかかっている。本選ともなれば優勝チームには文字通り桁外れの賞金が授与されるだろう。しかもプレイヤーには別途スポンサーもつく可能性が大だ。スポンサーが絡めば、更に大金が動く。

 ―――汚いマネを……っ!

 拒否権がないことは女性も理解できている。自分が信じている世界と自分が愛するものを危険に晒されて怒りを覚えない人間などいない。できることなら今すぐに立ち上がってこいつらを殴り倒して、突っぱねてやりたいところだった。

 だが、そんなことをすれば容赦なく自分の宝物に手を出すことになるのは明白
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