Side Story
少女怪盗と仮面の神父 19
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「すみません、ちょっと良いですか」
「なに？」
鮮やかな青空の下、踏みならされた山道を下っている途中。
ミートリッテは、自身に嵌められた手枷と、数歩先を行く青年の右腕とを繋いでいる鎖をちょいちょいと引っ張り、一時休憩を願い出た。
「足の裏が石で切れちゃってすっごく痛いので、このシーツを使って、靴の代わりになる物を作りたいんですけど……。そんな余裕、ありますかね？」
顔だけで振り返った青年に、これこれと顎で示したのは、燃やした家から逃げる際にちゃっかり持ち出していた真っ白なシーツ。
今は、両腕で抱えた食材入りの小箱に乗せて持ち歩いている。
「あー……しまった。そりゃそうなるよな。ちょっと待って」
ミートリッテに向き直った青年が、鎖を巻き付けてない左腕を外側へ強く一振りすると
「ひゃっ!? な、何それ？ ナイフ……じゃなくて、短剣？」
袖の中から飛び出した刃物の柄が、青年の手中にピタリと収まった。
全体の大きさは果物ナイフ程度で、可愛いと感じるくらいには小さいが。
握り手を庇う鍔が備わっている辺り、どう見ても立派な『剣』だ。
「……君、仕込みも知らないのか？」
そんな物をずっと隠し持っていたのかと驚くミートリッテを見て。
何故か、青年までもが目を見開いた。
意外だと顔に書きつつ、手に取って広げたシーツの一部を短剣で細長く、突っ掛かりもなく切り裂いていく。恐ろしいほど切れ味が良い。
「仕込み？」
「主要な武器が欠損したり手元を離れたりした時に使う、予備みたいな物。稀にはこっちを主要武器として使う奴もいるけどね。怪我してる足を先に、軽く上げて」
荷物を持ったままの片足立ちは、地味に辛いのだが。
青年はこういった状況に慣れているらしく、短剣を袖にしまい込んだ後、ミートリッテの体がふらつく前に、両足の処置を終わらせてしまった。
強めに巻き付けてくれたおかげで、傷の痛みはあまり感じない。
さすがに違和感はあるが、とりあえず歩行困難になる心配はなさそうだ。
「……ありがとうございます。つまり、日常的に武器を扱うだけではなく、予備まで隠し持ってなきゃいけない集団なんですね。貴方達は」
「とにかく急いで下山する為にも、自分の足で歩いてくれなきゃ俺が困る。それだけだよ。他の質問には一切答えない。でも……、そうだね。親切心で一つ教えてあげようか」
片膝を突いた姿勢から立ち上がった青年が、呆れた様子で息を吐き。
表情を失くした薄茶色の目で、ミートリッテを静かに見下ろす。
「観察で得た情報を、過去に蓄積した己の知識に照らし合わせて推測する。そうやって導き出した答えは、一見筋が通っていたとしても正解ではな
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