第五十五話 決意を新たに
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もならないのに?」
それを聞いた瞬間、ミレイが勢い良くデボラの胸ぐらに掴みかかってきた。
「デボラに何がわかるのよ!何が起こったのか聞いただけのくせして!私がどんな想いをしていたのかも知らないくせに!」
「ええ、知らないわよ!あんたの痛みはあんたしかわからない、だから、あんたの痛みはあんたにしか乗り越えられないのよ!それなのに何で、あんたは自分の痛みから逃げているのよ!」
それを聞いたミレイの手の力が緩む。
そしてミレイは静かに泣きながら、弱々しく言った。
「そんな事は私だってわかってるよ。ただここで泣いているだけじゃ何の解決にもならない事も全部わかってる。でも、私はただの人間なんだよ。どんな強い魔法を使えるようになったって、どんな敵にも勝てても、所詮はただの人間。ただの15歳の女の子。
……弱いんだよ、私は。弱いながらも強くあろうとして、必死に生きて、戦っていたんだよ。なのに、それなのに私は仲間を守れなかった。力も奪われた。後に残ったのは敗北感しかなかった。これまで努力してきた分の全てを粉々になるまで打ち砕かれたんだよ。
だからもう無理。もうこれ以上、強くあろうとし続けるのも。何かに挑み続けるのも。もう無理なんだよ」
彼女のその言葉を聞いた途端、デボラは初めて気がついた。
ずっと自分はミレイの事を強い少女だと思っていた。自分にはできない事もやり遂げられるだけの力と意志を持つ少女。それがデボラのミレイに対しての認識だった。
世界有数の大富豪の養女として育ち何でもかんでも我儘放題、好き放題して過ごしてきた自分とは違う、その少女にデボラは一種の憧憬を抱いた。
だから彼女はミレイと友人になりたいたと思った。(本人の性格上それを直にミレイに伝える事は無いが)
だが実際は違った。
ミレイは強い力を持っていて多くの冒険をしてきたものの、 その心はどこまでも年齢通りの少女の心だったのだ。
それを知った上でデボラの言った言葉は。
「ねぇ、ミレイ。あんたが戦おうとしないで部屋に引きこもっている間に、他の誰かがアベルとビアンカを助け出したとして、それであんたは2人に顔向けできるの?」
それを聞いたミレイの顔が一瞬でグシャグシャになった。
そして……そして静かにミレイは言った。
「そんな事、できるわけが無いよ……。2人に合わせる顔が無い……」
「なら、あんたは尚更部屋に閉じこもって泣いてるわけにはいかないわね」
デボラはミレイの肩に優しく手を置いた。
「いい?ミレイ。別に悲しむなとは言ってないわ。でも、あなたがやっている事は自分の傷を舐める事に一生懸命で自分の問題から逃げ出して、全部他人に押し付けているだけよ。一歩づつでもいいから前に進みなさい。……でないと
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