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SAO−銀ノ月−
第百十話
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、と声をかけると不満げにユウキから離れていった。

「もう! 何する――じゃなくて、どういうこと? ボクに分かるように教えてよ!」

「ユウキさん。つまりですね、ルクスさんはあいつらの仲間なんかに、絶対なったりしてませんよ」

 リズから解放されたユウキが椅子から立ち上がると、その頭の上にピナが乗った。どうやらピナのお気に入りの場所らしく、そのまま丸まって動かなくなっていく。それをユウキが流石のバランス感覚で落とさないようにしていると、俺たちが確信したことの種明かしがされていく。

「どうせあの子のことよ。あたしたちに迷惑かけられない、とか言ってあいつらの説得に言って、失敗して捕まったんでしょ」

「ルクスさんらしい」

「……あっ」

 笑い事じゃないわよ――とリズがリーファにツッコミを入れる傍ら、ユウキが得心がいったかのような声で呟いた。ルクスがインしているにもかかわらず、俺たちに連絡を入れずにグウェンたちの元にいるのであれば、リズが言った通りのことか起きたのだろう。生真面目にも他人には関係ないと、自分だけで説得しに行って、失敗して捕まった、と。

「つまり、ルクスの居場所は分かったわけだ」

「はい!」

 あのグウェンが宣戦布告か降伏勧告か、どちらをしに来たかは知らないが。ここにいるメンバーには――どうやら、逆効果だったらしい。そもそもルクスの居場所が分からずに話すことも出来ない、と悩んでいた俺たちに、親切にもルクスの場所を教えてくれたのだから。ユウキの頭からピナが飛んでいき、今度は気合いを入れたシリカの隣で鳴き声をあげる。

「SAO行ってない私には、殺人ギルドとかどうとか関係ないんだから。だから、やることは一つ!」

『ぶん殴って連れ戻してやる!』

 リーファに促されて言い放った言葉が、リズとユウキで一字一字重なった。グウェンにルクスへの言伝として頼んだ言葉であり、グウェンがこちらにどうして来たかはともかく、それは俺たちからの――宣戦布告だった。

「それでよし! 殴り合いであんたに勝てる相手はそういないんだから、その調子よユウキ!」

「その言われ方は……ちょっと複雑なんだけど」

 リズの太鼓判に苦笑するユウキを見て、少し調子が戻ってきたと安堵する。ユウキはああして笑っていてくれないと、どうにも反応と対応に困ってしまう――なんて、至極自分勝手なことを考えていると、再びリズベット武具店出張所の扉が開け放たれた。

「……クラインさん?」

「おう。ルクスの奴ぁ……いねぇよな」

 グウェンがまたもや入ってきたわけではなく、赤髪のサラマンダーことクラインの姿がそこにあった。今の今までフィールドにいたような、完全武装状態でどこか慌てている。キョロキョロと店内を見渡して
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