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〜銃声と硝煙の輪舞〜
列車の行方は誰も知らない
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ょうどいいタイミングでホームの空気が動き、列車が来ることを知らせた。女と同じようにベンチに座っていた人々が三々五々に立ち上がり、列車が来るのを待ち始める。

中東とはいえ、全員が全員頭にターバンをぐるぐる巻いているという訳ではない。治安の回復に伴って観光業が上向きになり、行きかう人の国際色は豊かだ。無論、今から乗る列車が長距離寝台列車で、利用客がほぼ観光客なのも一因だろうが。

地底からのプレゼントで稼いだ大金をつぎ込んだ列車は滑らかにホームへ入り込む。

別に早い者勝ちという訳でもあるまいに、待っていた人々は我先に雪崩れ込んだ。女はその様子を機嫌良さそうに眺めながら、落ち着いた頃を見計らって悠々と乗り込む。

夜行列車を引き合いに出さなくとも、長距離を移動する列車には基本、安いチップを払わない限り一定の人数に対してコンパートメントという『部屋』をプレゼントされるものだ。

そんな訳で女はチケットと睨めっこしながら廊下のように長い通路を移動して、指定のコンパートメントのドアを開けた。

すると――――

「…………おりょ?」

向かい合わせの四人席。

その中央に置かれたテーブルの上に、ノートパソコンがポツンと置かれていた。

眉丘を寄せる女は、しかし躊躇いなくコンパートメントの中に入ってドアをきちんと閉める。その後、やっぱり躊躇いなくシートに身を投げ出し、一瞬の躊躇もなくノートパソコンを開けた。

操作は開けるだけだった。

開けただけで勝手に電源が入り、画面に普通の操作をしていれば絶対に見かけないような文字列が何百行もスクロールされていく。冷却ファンが放出する異様な熱が、通常の動作ではないのを言外に伝えてきた。

そして。

『よ』

唐突に、画面いっぱいの男の顔が映し出される。

女はその顔を知っていた。

今や《世界の闇》の象徴とも言える者。人類技術の壁を破るもの(ブレイクスルー)

青年のように見えて少年にも見える、不思議な雰囲気を纏う男。

小日向相馬。

冗談抜きでその手に世界を握る男の顔が、そこにはあった。

「おやぁお珍しい。こんな端っぱ仕事には興味もないんじゃ?」

微妙にチクチク刺す台詞だったが、画面内の男は苦笑するだけでとくに咎めはしなかった。

『こっちも色々と忙しンだよ。《計画(プロジェクト)》の細かい調整もしなきゃだし……あっちこっちの国を飛び回ってんだぜ?』

「はいはいはーい、んじゃそーゆーコトにしておこっかにゃー。あんまりネチネチ責めんのはあたしのシュミじゃないしィ☆」

『……お前、日本語きちんと学び直したほうがいいと思うぞ』

「ブッ!?ちょ、ちょっとー、それどういう意味よー?」

ぶーたれる女にひとしきりニ
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