探偵になれるんじゃね?
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和屋義高は自他ともに認める『sai』ファンである。
『現代に蘇った秀策』というのは和屋がネット上の『sai』のファンサイトで書いた言葉で、それは今では定着している。
そして、最近和屋はsaiについてある考察している。
それを伊角に話すと、「よくそんなこと考えるな」とあきれ半分、関心半分に言われた。
「saiはお爺ちゃんじゃないかと思うんだ。Saiが打たない時間を見ていて思ったんだけど、平日は5時半からはほとんど打たない土曜日は隔週で午前だけ打って日曜日はほとんど打たない。これってさ、小学生の子供の登下校時間に合わせているんじゃないかって思うんだ」
和屋の考えは、saiはお爺ちゃんで孫や息子と碁を打っているのではないかというものだ。Saiの打たない時間帯は授業時間に被っていることが多い。突発的にいつもは打たない時に打つ時もあるが、これは相手の孫が打てなくなったからではないかという考察だった。
「けど、それじゃなんでチャットもメッセージも全然しないんだ」
横で聞いていた越智が茶々を入れた。越智は越智であれだけ打てるsaiが何者か気になってはいたので和屋の話を聞いていた。
それに和屋は自説を真剣に語りだした。
「きっと、パソコンの操作とか老眼だとかで字を打つのが苦手なんだよ。孫とかなら直接打てるし、saiはきっと誰かと打っていると思うんだ」
ログインしっぱなしなのもパソコンの操作が苦手でログアウトするのをためらっているからじゃないかとも付け加えた。
なるほどと、打っている時間帯だけでよくここまで考えるなと越智は思うが、同時に思ったことを国にした。
「それが正しくても、やっぱりsaiの正体は分からないじゃないか」
和屋がうるせー、これが本当なら日本人の可能性が高くなるんだよと言うが、結局はsaiの正体はネットの中だ。
和屋は越智の奴は余計なことしかいわねえと零しつつ、saiの正体はやはり分からない。
もしも、saiが打っている相手がヘボかったら誰もそいつがsaiの相手だとは気づかないだろうし、saiと打っているという人間も居ない。
いったいsaiは何者なのか、それはまだまだ和屋の頭を悩ませるだろう。
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