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英雄伝説〜菫の軌跡〜(零篇)
第20話
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ねた。



「コンビの場合、速い方がフォローに回った方が連携が取りやすい。それに、防御に関していえばお前のトンファーは相当なもんだ。迎撃するにしても、かわすにしても的確な判断ができるだろう。」

「うーん、わかった。やってみるよ。どっちも手強そうだけど………参加するんなら勝ちに行こう!」

「ハハ、その意気だぜ。………そうだな。せっかくだからコンビネーションを使った戦技(クラフト)もこのあたりで試しておくか?」

「ええっ………いきなり大丈夫か?」

「なに、お互いのクセもだいたいわかってるだろうしな。ぶっつけ本番にはなるが―――」

こうしてチェイスバトルが始まり、3組のチームはそれぞれの位置についた。



「―――それじゃあ、号令は私が務めさせてもらうわね。最初の空砲で第一チームがスタート。5秒後の空砲で第二チームがスタート。更に5秒後、最後の空砲で第三チームがスタート。」

「………タイムのカウントはわたしが担当します。」

「では、我々は見物人が巻き込まれないよう配慮しよう。」

「それじゃあレンもそっちを手伝うわ。」

3組のチームがそれぞれの位置につくとエリィとティオ、アッバスとレンがそれぞれ申し出た。

「フフ、舞台は整ったみたいだね。」

そしてワジが静かな笑みを浮かべて呟いたその時

「いいえ、真打ちがまだよ!」

グレイスがカメラマンを連れてロイド達に近づいてきた。



「グ、グレイスさん!?」

「確かクロスベルタイムズの………」

「やっほー、ボーイズ&ガールズ。何だか面白そうなことをやろうとしてるみたいじゃない?お姉さんも一枚かませなさいよね!」

「か、かませなさいって………」

「ハッ、何をしやがるつもりだ?」

「答えは―――これよ!」

ロイドとヴァルドに尋ねられたグレイスはマイクを取り出し、カメラマンはカメラを構えた!



「レースといえばやはり実況!カメラマンも連れて来たから思いっきり盛り上げてあげるわ!」

ロイド達に答えたグレイスはカメラマンと共に旧市街を見渡せる高い場所へと移動して、ロイド達を見下ろした。

「なんだか本当にお祭り騒ぎになった気が………」

「あはは、いいじゃない。喧嘩より何倍も楽しいわよ♪」

「やれやれ………せいぜい期待しときますか。そんじゃあ、そろそろ始めよう。」

「フフ、そうだね。ヴァルド、用意はいいかい?」

「ハッ、いつでもいいぜ。」

レースを開始する為にワジとヴァルドはスタートラインに移動し、それを見たエリィは導力銃を空に向け

「………それではカウントを始めます。”3(トライ)”………”2(ツヴァイ)”………”1(アイン)”…
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