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真田十勇士
巻ノ四十五 故郷に戻りその三

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「婚儀を結んでもらう」
「そうなりますか」
「わかったな」
「そのことはもうですか」
「話が進んでいたのだ」
 幸村が上田を離れている間にというのだ。
「そしてだ」
「それがしも妻を迎え」
「家を持つがいい」
「畏まりました」
「武士は家を持ってこそさ」
「はじまるのですな」
「左様、源三郎も御主もだ」
 二人共というのだ。
「妻を持て、よいな」
「さすれば」
「さて、御主達が家を持つのはよいが」
 ここで昌幸は話を変えた、今度の話はというと。
「また天下が騒がしくなる」
「九州ですすな」
「既に近畿、山陽、山陰、北陸、四国は収まった」
「そして東海も」
「徳川殿も関白様と和を為してな」
 そうして秀吉の軍門に降ってというのだ。
「そこも落ち着いた、しかしだ」
「九州は」
「薩摩、大隅、日向を治める島津家が北上している」
 九州の南端からだというのだ。
「大友家も龍造寺家も敗れた」
「どちらも立ち直れないまでに」
「特に龍造寺家はな」
 この家はというのだ。
「主の隆信殿が討たれた」
「その首を奪われましたな」
「最早龍造寺家は滅びるのみ」
「このままでは」
「大友家もそれは同じ」
 この家もというのだ。
「最早な」
「島津家に全てをですな」
「滅ぼされてじゃ」
「九州の全てが島津家のものとなる」
「そうなってしまう、だが」
「関白様はそれを望まれぬ」
「そうだ、だからだ」
 島津家としては九州を全て手に入れたうえで羽柴家に従いたいのだ、その為に兵を進めているのだ。だが。
 秀吉はそこまで大きな勢力が出来ることを望んでいない、それで島津家の九州統一を望んでいないというのだ。
 そうした事情からだとだ、昌幸は言うのだ。
「近いうちにな」
「戦となりますな」
「九州でな、そしてな」
「東国でも」
「東国はだ」
 こちらはというと。
「今も戦国じゃ」
「しかしその戦国を終わらせ」
「関白様は完全な一統を望まれておる」
「この天下の」
「だからじゃ、九州とじゃ」
「東国で」
「戦がある、御主はその家臣達と共にじゃ」
 その十勇士達と、というのだ。
「九州にな」
「行くことになりますな」
「おそらくな、よいな」
「わかり申した」
「その時はまた言う」
 幸村が九州に行く時はというのだ。
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