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ありがとう!(V完結編)
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、有り難う、有り難う」と建一は言い、幸世と揺子と一緒に、総一郎の体に泣き崩れた。二日後、総一郎の葬儀は、慣れ親しんだ自宅で執り行い、その日に庭のモンタの母猿の墓に埋葬され、墓石に早川総一郎・礼子の名前も刻んだ。弔問客は、葬儀会場が山間(やまあい)にも関わらず、村人、市の職員、野生動物公園の従業員など多岐に及び、キャプテン刑事の姿も有った。その中に、一際、愛しげ(いとしげ)に揺子を見詰める老人が居た。それは、久保葡萄園の実の父・信雄の親だった。建一と幸世は軽くお辞儀をして、彼に線香を渡した。実の孫・揺子を見詰める老人の目に涙が毀れていた。揺子が「大人が、そんな一杯泣いたら、おかしいよ」と言い、幸世に作って貰ったハンカチを、老人に渡した。ハンカチを手にした老人は「有り難う」と言い、声を出して泣き出した。ビックリした揺子は「御爺ちゃん、このハンカチ上げるよ」と言った。老人は幸世を見た。幸世は老人に軽く頷いた。老人は幸世に頭を下げ、線香を上げ終え、その場を去って行った。老人に取って、このハンカチは、実の孫からの、最初で最後の贈り物で、御爺ちゃんの言葉も、最初で最後だった。老人の後ろ姿は、とても者悲しかった。その夜、幸世は夜空を仰ぎ、揺子に「総一郎爺ちゃんは、天国に行って、お星さまに成り、礼子お婆ちゃんと一緒に成ったの」と言った。「お星さま、一杯で分からない。ママ、人間は死ぬと、皆お星さまに成るの?」と揺子が聞くと「良い事をした人だけは、お星さまに成るの」と答えた。庭の墓石の周りには、総一郎の死を惜しむかの様に、野生動物が、本能的に集まり始めていた。
四十九日忌が過ぎた日曜日に、建一は、家族と村人達と一緒に、吊り橋に出掛けた。建一の首には、総一郎の遺影写真が有った。谷川の空地に、既に、十数台の大型バスが停まっていた。建一達は、吊り橋に向う山道を、歩き始めた。皆の目に、白く輝いた、吊り橋が現れた。建一達は、唖然とした。古びた吊り橋は、新しく架け替えられ、左右の橋脚にはモンタをモチーフにしたアニメが掲げられ、橋の門柱には、モンタ橋と彫られていた。何処からかともなく、大勢の町の職員が、手拍子と拍手で現れた。矢部新町長が建一の傍に来て「今日は、町役場が休みなので、職員の皆で、来ました。この吊り橋は、我々が早川町長に教わった、記念です。モンタは、町のイメージキャラクターで、モンタからも、色々教わりました。橋の名前は、モンタ橋にしました。以前の吊り橋に、母猿とモンタの吹き流しが、有りました。町の職員が手分けして、兎や狸や馬などの、あらゆる動物の吹き流しを、作りました。野生動物公園と共に、この町の、観光の目玉に成る様に、頑張ります」と、言った。吊り橋を見上げると、幾重にも橋脚に、ワイヤーロープが張られ、野鳥の形をした凧と、無数の種類の、野生動物達の吹き流しが、新鮮な谷川の空気を吸
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