ありがとう!(V完結編)
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、墓石の事を幸世に話した。三人は、母猿の墓石に合掌して、婚約の報告をした。「我が家は、人が集まるので、居間は、先日、増築して広くした。けれども、寝室は建一と俺の二部屋しかない。もう、婚約したから夫婦だ。夫婦は一緒の部屋が当たり前だ。既に建一は、高木さんの臍の下のホクロも、見ているし」と、総一郎が言った。「お父さんも、私の着替えを手伝ったのですか?」と、幸世が聞くと、「ごめん、バレタか」と、両手を合わせ詫びた。幸世は、口をヘの字にして、軽く総一郎を睨んだ。すると、幸世は「大好きな早川さんと、同じ部屋が良いです」と、建一の手に触れ、今度は微笑みながら言った。建一は照れた。幸世に、支店の窓口のブリッ子さが、少し戻ってきた。
夕食は幸世が作った。何時もの男所帯の味とは、比べ物にならなかった。テレビを見てから、建一と幸世は建一の部屋で、総一郎は自分の部屋で床についた。部屋で幸世は「本当に私で良いの?私の戸籍は、汚れているよ。私は他の男性」と、言い掛けたら、建一が幸世の口を塞いだ。「全て、分かっている。大丈夫」と、言って、幸世を強く抱き締めた。幸世は体に、優しい建一の温もりを、感じた。二人は布団に入った。幸世は泣いていた。[如何して、こんなに心が温かく、優しい親子なの]幸世は、他人から、こんなに優しくされた事が、無かった。嬉しさで、涙が止まらなかった。暫くして「お父さんは、私達の愛のキューピットね」と、幸世が言うと「随分老けた、愛のキューピットだな」と、建一が笑って言った。「駄目よ、そんな事を言っては」と言って、建一を嗜めた(たしなめた)。「私、お父さんにプロポーズされたみたい」と、幸世が笑顔で言うと「ごめんね、俺、奥手だから」と、建一が苦笑いして言った。「此れから、早川さんの事、建一さんと呼んで良いですか?」と、幸世が言うと、建一は少し考えて「建ちゃんが良いよ、俺も幸ちゃんと呼んで良い?それと、俺に敬語を使うのは、やめてね」と、言った。幸世は頷き「建ちゃん」と、言うと、建一が「幸ちゃん」と、言い返した。二人は笑った。その夜、建一は緊張の余り、幸世の体に全く触れる事が出来なく、幸世は、若干心配になった。翌朝、幸世が目覚めた時には、建一は、未だ、眠っていた。起き上がり、建一の机の上を見ると雑誌が三冊、重ねて置いてあった。一冊目は野生動物の雑誌、二冊目は農作物の雑誌だったが、三冊目はエロ雑誌だった。幸世は、その雑誌を見て[建一さんも、まともな男性ね]と、思い、安心した。以前、弟の昌五の部屋にも、料理の本に混じり、数冊のエロ雑誌が有ったが、男なら当然だと、認識していた。建一が目覚めた。幸世は「お早う」と、言って、建一の手を、自分の胸に押し込んだ。二人は、その朝、始めて交わった。総一郎は、朝になっても中々起きて来ない二人に、少々、苛立ちを感じていた。モンタは、既に、部
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