ありがとう!(V完結編)
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、小さな集落の分校とは比較にならない程、中規模の集落の学校は充実していた。最近、自宅で揺子が「パパは一日、幾ら御給料を貰えるの?」と、聞かれた。建一は曖昧に「1000円位かな」と、答えた。次の夜、建一の自宅の机の上に、1000円が置かれていて[パパ、御給料払うから、一日遊んで]と、書いた紙が有った。それは揺子が、僅かな小使いを貯めた1000円だった。目頭が熱くなった。建一は最近、公務が忙しく、揺子・健太・真喜・モンタと遊ぶ暇が全く無かった。建一は敢えて、揺子の通学している学校を、視察に選んだ。揺子の教室に行った。学級担当の教師が「今日は町長さんが、皆さんを見学に来ました」と、言って、建一を紹介した。揺子が、教室の後ろに居る建一に、笑顔で手を振った。隣の男の生徒が「揺子ちゃん、知っている人?」と、聞いた。「私のパパ」と、答えた。「凄いな!」と、男の生徒は驚いて言った。休憩時間に、揺子とクラスの生徒を混じえ、校庭で鬼ごっこをした。矢部秘書課長と木村課長も、加わった。「今日は、皆さんの授業を拝見させて貰って、有難う御座います」と言って、建一は例の如く、同行した三人と、生徒に頭を下げた。生徒も同様に建一達に「有難う御座います」と言って頭を下げた。授業後、校長室で校長を混じえ、学級担当の教師と面談した。教師は「揺子ちゃんは、クラスでも学力はトップです。特に、国語と英語は優秀です。居残り授業を、自発的に申し出る程です。下校時のスクールバスに間に合わなく、何時も、お母さんが迎えに来ます」と、言った。面談を終え、建一は町役場に戻った。町長室から、幸世に電話した。「最近、お父さんは目が衰え、パソコンを開く機会が、少なくなったの。揺子が、学校の図書室から本を借りて来て、お父さんに読んでいる」と、幸世は電話で言った。[揺子は、目が衰えた総一郎に、読んで聴かせる為に、居残りをして勉強していたのだ]と、建一は思い、揺子の優しさを感じた。話しを、貰い聞きした矢部秘書課が「良い話ですね。町長と御付合いしてからは、良い話しの連続ですね。私も見習います」と、言った。
ある日、寺岡補佐役と一緒に、建一は野生動物公園に居た。野生動物公園は、入園者で一杯だった。建一の傍に、裸馬に、相乗りで跨った(またがった)男女が、現れた。男が「寺岡さん、お久しぶり」と、笑顔で、下手な日本語で言った。寺岡補佐役が、微笑みながら、片手を上げた。彼はドルジと云って、モンゴル人で、遊牧民の出身だった。力士に成りたくて、相撲部屋に入門したが、体格にも恵まれて無く、目が出なかったので、寺岡補佐役が馬の飼育係として採用した。今度は、馬上の女が、手を振り「建一さん、こんにちは」と、言った。彼女はゴルフ場反対運動の時、全国から集まった、ボランティアの大学生の一員で、名前は、君が代と言った。そして当時は、大学の乗馬ク
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