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ありがとう!(V完結編)
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しかし、反対運動した集落の人間は高齢者ばかりで、唯一、建一だけが若かった。建一に、白羽の矢が立った。財力も無く、工業高校卒の学力しかない建一は、一度は辞退したが、反対運動した人々の、たっての要望に、断り切れなくなり、出馬を受諾した。反対運動の際、野生動物の餌場造り協力してくれた、全国のボランティアの人々が、自費で選挙活動に参加し、草の根運動を展開した。集落の人々は、改めて絆の深さを痛感した。それはマスコミでも報じられ、生態系保護の早川建一の名前は、益々、知れ渡った。建一の粗末なプレハブ事務所には、連日、支援者や応援者が多数集まり、荒井町長の広くて立派な事務所は、閑古鳥だった。
一方、金蔓の幸世を失った信雄は、金銭面で苦境に陥り、実家の久保葡萄園に、戻る事を考えた。頭は完全に禿げ、体は痩せ細り、頬は、痩け、信雄の容貌は一変していた。信雄は父親を訪ね、再建した久保葡萄園での復権を願いでた。復興・再建は一人娘の夫の功績だった。父親は、断固として、信雄の願い出には応じなかった。信雄は市内に戻り、大衆食堂に入った。食堂のテレビで、近くの町長選挙が放映されていた。信雄が何気なくテレビを見ると、町長候補者と候補者夫人が、映し出された。早川建一と幸世だった。幸世は、総一郎に諭され(さとされ)、今は、サングラスもマスクも、付けては居なかった。試に、幸世に電話してみたら、受信拒否は解かれ、幸世が出た。信雄は、金に頻拍しているので、本日の、現金での受け渡しを、強要した。そして、幸世が一人で来る事を条件に、時間と受渡し場所をメールした。キャプテン刑事の思惑通り、獲物が網に掛った。町長選挙の最中だった。幸世は指定された時間に、受渡し場所に行った。信雄が現れ、金の入った紙包みを取り「今は、女に不自由しているから、俺と付き合え」と、言って、強引に幸世の手を引っ張った。通行人を装っていた、キャプテンの刑事と、数人の刑事が飛び出した。信雄は、激しく抵抗した。キャプテンの刑事が、蹴りの一撃をしたら、信雄は地面に、仰け反って倒れた。信雄は、現行犯で逮捕された。瞬時の出来事だった。物陰に隠れていた建一が、幸世の傍に寄り抱き合った。キャプテンの刑事が建一に「俺の蹴り、カッコ良いだろう」と、笑いながら言った。二人は、キャプテンの刑事に「有り難う御座います」と言って、深々と頭を下げた。建一の心は、今回、スッキリした。取調室に連行され、信雄は公務執行妨害・暴行罪・軽犯罪法違反・名誉毀損罪・脅迫罪の全てを認め、取調べ調書にサインし指紋を押した。信雄の携帯電話からは、脅迫の発信メールや、ホテルでの写真が次々と発見され、幸世の携帯電話の、通話録音と受信メールと共に、証拠に成った。信雄は投獄された。後日、信雄の父親から、建一と幸世に電話が有り「馬鹿息子が、大変悲痛な思いさせて、申し訳ないです。私はゼロ出発で、苦
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