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ありがとう!(V完結編)
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なかった。警察に、捜索願いも出した。隣の一枝が、建一に「女の第六巻で、先日のゴルフ場での融資部長・久保信雄の名前を話した時から、幸世の表情の異変に、気付いていたが、プライバシーを干渉するのは良くないと思い、建一に黙っていた」と、話した。建一は、信雄が関与しているのでは思い、銀行に電話したが「融資部長は、既に退職しているので、分からない。実家の久保葡萄園に、聞いて見たら、分かるかも」との、返事だった。久保葡萄園の電話番号を調べて、電話したが「自分達も音信不通で、分からない」と、言われた。建一名義の口座から、数十回に渡って、大金が引き出され、振込先が信雄で或る事も判明した。建一は、揺子の児童養護施設の前で、施設の子供達が遊ぶ時間帯に、幸世が現れるのでは、と考え、一週間待機した。しかし、幸世は現れなかった。完全に、幸世の消息が途絶えた。
数日後、建一は、揺子が居る児童養護施設を訪れ、揺子の養子の申請をした。「御両親が居ないと、養子の申請は出来ません。奥様は?」と、穏やか(おだやか)に聞かれた。建一は、住民票・印鑑証明・戸籍謄本を出し「今、妻は入院中です」と、偽りの発言をした。施設の人は、住民票と戸籍謄本に目を通し、審査が有ります。財産目録や確定申告書のコピーを頂くかも知れません。何れにしても後日、連絡します」と、言った。若干の追加書類は提出したが、審査は問題なく、揺子は建一の養子になった。揺子は、すぐに、建一と総一郎に打ち解けた。建一は、絶えず揺子に、幸世の写真を見せ「ママだよ」と、教えた。揺子が「パパ。ママは綺麗だね。何時、帰って来るの?」と、言った。建一が「パパも、ママが綺麗で優しいから大好きだ。揺子が、御利口さんにしていれば、帰って来るよ」と、答えた。揺子は「解った」と、言った。隣の一枝とトヨが、男では分からない事を、常にサポートして呉れた。健太と真喜は揺子と、直ぐに仲良しになり、真喜は、妹が出来たと喜び、人形の様に可愛がった。揺子は、周りの愛に囲まれ、すくすくと育っていった。
ゴルフ場は、建一達の反対運動や、野生動物の出没や、地震被害の後遺症が重なり、人気は衰退していた。或る日、モンタの母猿を()ねた、独立行政法人の役員達が、ゴルフ場の関係者による、接待ゴルフをしていた。急に空が曇りだし、雷鳴が響き、大粒の雷雨が降り出した。役員達はゴルフ場の大きな樹木の下に退避した。雷が、その樹木を直撃した。役員の三人は即死、残りの一人は瀕死の重傷を負った。山村に、救急車のサイレンが鳴り響いた。この事故は、ゴルフ場の不人気に、更に拍車を掛け、ゴルフ場は、数か月後に、廃業に追い込まれた。落雷事故の翌日、建一は、揺子と真喜と健太の四人で、モンタを連れて、山菜取りに行った。谷川は、昨日の雨で、可なり増水していた。全員で谷川に掛かった橋を渡ろうとした時、ゴルフ場から車が下
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