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ありがとう!(V完結編)
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んは?」と、訊ねた。総一郎は、一枝に話しても良いか念を押し、親子の名前と、親子の事情と、自分が一枝に話した事柄を、トヨに話した。トヨは、寂しそうに笑いながら「おたく達が、こんな婆ちゃんでも、差支えが無いなら、是非、一緒に住んで欲しいよ。太助爺ちゃんが亡くなってからは、人手が無いから、裏の果樹園は、建一さんの村仲間に任せきりで、地鶏の世話だけは、自分で遣っている。自分達夫婦には、子供が居ないからね。車も二台とも、太助爺ちゃんしか、運転が出来ないから、置いた侭だ」と、言った。総一郎が「学校は遠いけれど、車で送り迎えすれば、数十分で行けるよ」と、言った。健太が「お婆ちゃん、これ食べて良い?」と、聞いた。一枝が「お行儀が悪いよ」と、健太を戒めた(いましめた)。トヨは優しい表情で「良いよ、一杯たべて。年寄りの茶菓子だから、口に合うかな?」と、言い、湯呑茶碗に御茶を注いだ。モンタも、茶菓子に手を出し、食べていた。トヨが「モンタは、食いしんぼだね」と、笑いながら言った。一枝は「とても有難い話です。今晩、子供達と話し合って、すぐに御返事します」と、言った。総一郎と幸世と一枝親子は、総一郎の家に戻った。時刻は夕方に、なってしまった。建一が農場から帰って来て「こんにちは、一枝さん、健太君、真喜ちゃん。話しは、先程、幸ちゃんから携帯電話で、聞いています」と、笑顔で言った。幸世が「私の主人、カッコ良いでしょう」と、ブリッ子笑顔で言って、建一に寄り添った。一枝には、ガタイ大きく熊の様な建一が、カッコ良くは見え無かったが「カッコ良いですね」と言い、辻褄(つじつま)を合せた。でも、建一と幸世を見て、二人が相思相愛な事は、感じ取った。建一が「今日は、遅くなったから泊まっていった方がいいよ」と、言うと、総一郎も「それが良い」と、言った。一枝が「でも、甘えてばかりでは」と、言った。建一が、幼い兄妹に「ここは山奥だから、夜になると怖い動物が出て、二人を食っちゃうぞ」と、脅かした。兄妹は「怖い」と、言って、一枝に抱き付いた。一枝は少し考えて「では、お言葉に甘えて、泊まらせて頂きます」と、言った。幸世が「一枝さん、また食事作るの、手伝って」と、台所から声を掛けた。建一がモンタに「隣のトヨ婆ちゃんを、呼んで来い」と、言ったら、モンタが、隣に向かって走って行った。トヨがモンタと一緒に、地鶏の鶏肉と卵を持って、遣って来た。三人は台所で、鶏肉のフライを作った。夕食を食べ終えた頃、何時もの様に、狸の親子が現れた。総一郎が、鶏肉の残りを与えた。一枝と幼い兄妹は、恐る恐る近づいたが、興味、深々だった。家には寝室が二つしか無く、今夜は、建一と幸世の寝室を、親子に空け渡し、二人は居間で寝た。布団の中で一枝は兄妹に聞くと、二人とも口を合せて「此処が良い、此処に住みたい」と、言った。翌朝、全員でトヨの家に行った。一枝はト
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