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ありがとう!(V完結編)
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昼を作るの、忘れちゃった。御免なさい」と、幸世は言って「お名前、未だ聞いて無かったよね、教えて下さい」と、女性に聞いた。「山本一枝です。息子は健太、娘は真喜です」と、女性は答えた。「我が家は、お父さんの早川総一郎、今は農場に仕事に行って留守だけど、主人の早川建一、子猿のモンタと私、早川幸世です。私の御主人様、カッコ良いよ。話しは、昼御飯を食べながら、しましょう。ね、お父さん」と、幸世は微笑みながら言った。「そうだ、そうだ」と、総一郎は幸世に同調した。女性は「お世話になった挙げ句に、昼食まで頂いては申し訳ないです」と、言うと、幸世は「山本さん、遅くなったから、昼食、作るのを一緒に手伝って下さい」と、言って、女性を台所に引き入れた。台所で幸世は「山本さんの事、一枝さんと呼んで良い?」と、女性に聞くと「は、はい」と、目を丸くして答えた。幸世は「私の事は幸世???幸ちゃんと呼んで」と、言った。何時しか二人は笑い合って昼食を作っていた。出来上がった昼食はオムライスだった。モンタも、小盛りオムライスを作って貰った。兄妹は夢中で食べた。食べ終って、兄妹もモンタも、ケチャップで、口の周りが真っ赤だった。兄妹は、互いの顔とモンタの顔を見て、笑いこけた。幸世が、台所からおしぼりタオルを持って来て、二人の顔とモンタの顔を拭いた。総一郎が、口を開き「山本さん。この集落に住まないか?集落は、年寄りばかりで、子供が居ない。自然は豊かで、家は広いし、食い物は困らない。車で行けば、町まで遠くない。不自由は感じない。何より、集落には強い絆がある。私も、元は町場の人間だ。今は、此処に、住んで良かった、と思っている。住めば都だ。ただ、子供が住んで居ないので、学校だけは遠い」と、言った。一枝は戸惑い「仕事は、有りますか?」と、聞いた。総一郎は「農作業で、始めは慣れないと、大変かも知れないが、慣れれば大丈夫。どの仕事も、最初は未経験が、当たり前です。子供の近くで、仕事が出来ます。運転免許証は、有りますか?」と、言った。一枝は「はい、免許証は持っています」と、答えた。総一郎は「隣の滝沢さんの婆ちゃん、御主人に先立たれて、今は一人暮らしです。子供も居ない。優しい人だよ。寂しくて、毎日の様に私の所に遊びに来ます。会って見ますか?」と、言った。一枝は戸惑って「はい」と、答えた。隣の滝沢家とは、地続きで、境は何も無かった。総一郎と幸世は、親子を滝沢家に案内した。家の裏には、大きな果樹園が在った。庭には中規模の、地鶏の養鶏場が在り、シルバー色の軽トラックが一台と、白色の軽乗用車が止まって居た。幸世は「お昼のオムライス、ここで貰った卵で作ったの」と、言った。「トヨさん、滝沢さん、居るかい」と、総一郎は呼んだ。家の奥から、人の好さそうな、老婆が出て来て「あら、まあ、総一郎さんと幸世さん」と、嬉しそうに言い、「此方さ
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