ありがとう!(V完結編)
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中の早くに、自分達のアパートを出たのですが、こんな時間になって、しまいました。すいません。今日は子供の学校が、お休みで、私も、パートの仕事を休んで来ました。先日、お借りした、お金を御返しします」と、言って、3000円を総一郎の前に出した。総一郎は、少々怒り調子で「私の気持ちを、無にしないで下さい」と、言った。女性は俯いて「有難う御座います。せめて菓子折りだけは、受け取って下さい」と、言い、菓子折りを出し、3000円を自分のバックに戻した。総一郎が「御主人は?」と聞くと、女性は「離婚しました」と、答えた。総一郎は「差支え無かったら、もう少し詳しく話して貰えますか?」と、聞いた。女性は「見ず知らずの方に、私共の身の上話など、聞いて貰う訳には、いきません」と、言って、バックを静かに、手に取った。「大変、お世話になりました。有難う御座います」と、言い、深々と頭を下げてから立ち上がり「健太、真喜、帰りますよ。お礼を言いなさい」と、兄妹に言った。幼い兄妹が口々に「お爺ちゃん、小母ちゃん、有難う」と、言って、靴を履き始めた。幸世が「待って下さい。お父さんは、人生経験豊かな優しい人です。是非、話を聞かせて上げて下さい」と、言って、女性を引き留めた。女性は暫く躊躇った(ためらった)が、再度、居間に上がった。女性は話し始めた。「夫はギャンブルに填まり、会社のお金に手を付け、解雇されました。サラ金にも、多額の借金が有りました。[私や子達に、これ以上、迷惑は掛けたく無い]と、言って、離婚届に印を押し、郵送して来ました。私は、仕方なく離婚届に自分の印を押し、市役所に提出しました。夫は現在、業務上横領の罪で服役しています。今は、市内のアパートで、三人で暮らしています。保証人もいなく、増して二人の子持ちの私を、正社員として雇ってくれる所は、何処にも有りません。保育園にも空きが無く、思った様に働けません。今は、パートとして、アパートの近くのお店で働いています。子供が居るので、遠方に勤めるのは不可能です。生活保護は今、受けていますが、生活は厳しいです。先日、息子の誕生日で、子供が、うどんを食べたいと云うので、一年ぶりに、御蕎麦屋さんに行きました。そこで、お会いしたのが、お二人です。先日は、有難う御座いました。子供に欲しい物も買って上げられず、いつも[我慢しなさい]の連続です」との、彼女の窮状だった。幸世は、世の中には似た様な境遇の人も、いるのだなと、思ったが、同じ身内の罪でも、横領罪と殺人罪では、雲泥の差が有ると思った。庭で遊んでいたモンタが、腹を減らし居間に飛び込んで来た。兄妹はビックリした。総一郎が、モンタにバナナを与えた。モンタは、女性と兄妹に、一本ずつバナナを渡してから、自分も食べ始めた。兄妹が口々に、モンタを「可愛い」と、言った。「あ、そうか。お昼、未だだったよね。話しに夢中で、お
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