ありがとう!(V完結編)
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、教えて下さい」と、言った。「私達の気持ちですから、気にしないで下さい。お子さんが、可愛かった。私も二人兄妹で、妹がいた」と、総一郎は言った。「でも、そんな訳には?」と、女性が言うと「○○集落の総一郎です。猿も鹿も狸もいますから、暇な時、お子さんを連れて、遊びにいらっしゃい」と、総一郎が言った。二人は蕎麦店を出た。二人の後ろ姿に、女性は深々と、お辞儀をした。二人は道の駅に向かった。幸世は[今まで、教わった事が無い勉強を、した]と感じ、胸が熱くなった。車の中で「幸ちゃん、腹減ったな」と、総一郎が言うと「そうですね、お父さん、道の駅で、何か食べましょう」と、幸世が言った。幸世は、携帯電話で道の駅に居る、建一に連絡した。道の駅では、建一とモンタが、ファーストフードを持って出迎えた。二人は、出入り口の横のベンチに座って、ファーストフードを食べた。道の駅から、集落の老人が数人、出て来た。「幸世さん、弁当有難う。家の婆さんより、数段美味いよ」と、言って幸世を誉めた。「今度、皆さんの奥さんにも、教えるから」と、幸世が笑って言った。
家路の車の中で「自分達が、お客さんなのに、如何して店員さんに[有難う]と、云うのですか?」と、聞いた。総一郎が静かに話し始めた「俺も二人兄妹で妹がいた。家は貧乏で二人とも、殆ど学校に行って無い。俺は、小さい頃から、大工の修行に出された。俺は、あの様な子供を見ると、自分の事の様に思える。妹は、もう、この世には居ない。人間は、人から悪口を言われたり、注意されたりして、嬉しい人間は、いない。親からでも、上司からでも、先生からでも、友達からでも同じだ。人間は、自分も事を悪く言う人間は、いない。みんな、「自分は悪くない」と、自己弁護をする。自分の事を悪く言うのは、うつ病の患者だけだ。アリガトウを言われて、嬉しくない人間は、いない。人間は、アリガトウを言われると、嬉しくなって、また、やる気を起こす。親でも、上司でも、先生でも、友達でも、みんな、同じだ。アリガトウを言われると、言った相手が、好きになる。今日、道の駅で会った集落の人達にアリガトウを言われると、嬉しくなって、幸ちゃんは、また、弁当を作りたくなるだろう。建一から、アリガトウを言われると、建一が好きになるだろう。銀行でも同じだろう。お客さんにアリガトウを言われると、その御客さんが、好きになるだろう。反対に今日、道の駅で会った集落の人達に悪口を言われたり、注意されたりすれば、彼らが嫌いになるだろう。建一が悪口を言ったりすれば、建一を嫌になるだろう。俺は、人に好かれたいから、アリガトウを言っている。そうすれば、人は俺を親切にしてくれる。人はアリガトウを貰えば、自分が宛にされていると思い、やる気が湧く」幸世は、総一郎の考えに、感動した。その夜、幸世は「お父さんの考え素晴らしいね。尊敬しちゃう」と
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