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ありがとう!(V完結編)
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が、高木幸世さんの携帯電話ですか?」と、言った。「はい」と、建一が答えた。「高木幸世さん、居らしゃいますか?」と、言った。「居ません」と、建一が答えた。「お宅様は、どちら様ですか」と、霊園の人が言った。「親戚の者です」と、建一が答えた。「では、高木さんに伝えて下さい。霊園の規則が変わりましたので、一度霊園に、お越し下さい」と、言った。「分かりました」と、建一が答え電話を切った。幸世が購入した霊園からの電話で、建一も集落の近郊だったので場所は知っていた。携帯電話の画面を見た。幸世の携帯電話の画面は、モンタを抱いた自分が写っていた。建一は、嬉しさで涙が出た。保存写真の中に、家族や交友関係の写真が一杯有ったが、赤子の写真が一番多かった。赤子の着ている衣類は、全て揺子の文字が有った。最後に、墓石と白い建物の写真が写っていた。電話とメールの履歴を見た。送信(リダイヤル)履歴は数多く有ったが、受信・着信履歴は、殺害事件の有った日を境に途絶え、警察や葬儀社や司法書士などの数件のみが、残っていた。事件以後の送信(リダイヤル)履歴は、通信時間が微かな通話が多く、相手に受信拒否をされている様に感じた。孤独な幸世の胸の内を、垣間見た。事件前の交信記録に、支店長・久保信雄のメールが目に止まった。建一は、その内容を、読んでしまった。幸世と支店長の関係を知った。幸世が身動きした。瞬時に建一は、幸世の携帯電話を、バックに戻した。
「父ちゃん、父ちゃん」建一は囲炉裏端で、うたた寝をしていた総一郎を起した。「高木さん、高木さん」と、言い、幸世を揺り起こした。モンタも、幸世の腹の上で跳ねた。幸世が目を開けた。「此処、何処?」と、幸世が言った。「俺達の家だ、もう大丈夫、良かった」と、建一は安堵の気持ちで言った。二人は、胸を撫で下ろした。二人の顔は喜びで満ちていた。「私、如何して此処に居るの?・・・あれ?早川さん?」と、幸世が言うと、建一は頷いた。モンタが、幸世の胸の上に飛び乗った。「モンタちゃん?会いたかった。早川さん、有難う」幸世の目は、涙で溢れていた。モンタが、幸世の顔に頬擦りをした。幸世が起き上がり、気付いた。「これ、誰のパジャマですか?」総一郎が「俺のだ。ずぶ濡れだから、着替えをした」と、言った。「私の衣服は?」と、幸世が聞いた。「洗濯して庭に干してある。もう、乾いていると思う」と、総一郎が言って、庭を指差した。「誰が、私の着替えをしたのですか?」と、幸世は恥ずかしそうに小声で聞いた。総一郎が惚けて「建一が、一人でやった」と、言った。建一は面食らって「モンタがやった」と、言った。幸世が、両手を抱いて俯きながら「恥ずかしい。でも有難う御座いました」と、言った。建一が庭に出て、幸世の衣服を取って来て、幸世に渡した。幸世は、隣の部屋で着替え、寝間着と丹前を綺麗に畳んで、改めて「有難う御座いま
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