ありがとう!(V完結編)
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ありがとう!(完結編)V
{フィクションに付き、内容は架空で、
事実とは、異なる処があります}
谷川に沿って、川原を歩きながら、沢蟹とタニシを獲って来た建一は、帰りは、近道の、崖の上を通って行く事にした。建一は、崖の上に繋がる獣道を、上り始めた。モンタが、建一の背中に飛び付いた。「モンタ、重いよ、歩いて」と、言い、モンタを背中から降ろした。モンタは、建一の先を、崖の上の方向に登っていった。モンタが、崖の上で、激しく叫び出した。何事かと思い、建一は急ぎ、崖の上に登った。そこには、水色の軽乗用車が、止まっていた。ナンバーは10-12で、キーは付いた侭だった。幸世さんの車だ。傍に靴が、揃えて有った。モンタも、幸世の車を覚えていた。建一は、急ぎ元の川原に下りた。川原を見渡した。何も見当たらなかった。自分達は、谷川の上流から来たが、何も無かった。おそらく、谷川の下流に流されたと考え、建一は下流に向かって川原を走り出した。少し走ると、数十メートル前方を走っていたモンタが、幸世の居場所を教えるかの様に、激しく叫び始めた。幸世が、川原の大きな石に引っ掛かり、水に浸かって倒れていた。建一は無我夢中で、幸世の胸に耳を当てた。息は有る。手首に親指を当てた。脈も有る。集落は無医村だった。建一は、必死で幸世を背負い、崖の上に登った。幸世の軽乗用車の助手席に、幸世を乗せ、猛スピードで自宅に向かった。自宅に着き「父ちゃん、父ちゃん」と、大声で叫んだ。後部席からモンタが飛び降り、総一郎の仕事場に走って行った。建一は幸世を担ぎ、自宅の囲炉裏端に寝かした。仕事場で、白河夜船で居眠りをしていた総一郎が、目を擦りながら起きてきた。総一郎は幸世を見て、驚いた。「父ちゃん、囲炉裏の火を燃やして、早く、早く」と、建一は叫んだ。総一郎は、自分の仕事場から、木工製品や木くずを持ち出し、火を付けた。建一が、総一郎の仕事場や自分の部屋から、ストーブを持ち出し、火を付けた。幸世の衣服は、ずぶ濡れだった。総一郎が「早く、着替えさせないと」と、言った。建一が「女の人だから、男が着替えさせは、駄目だよ」と、言うと、総一郎が「馬鹿野郎!早く、着替えさせないと、冷えて死んでしまうぞ!」と、怒鳴った。二人の家には、衣類は男物しか無かった。建一はガタイ大きく、中肉中背の総一郎の衣類を着せる事にした。二人掛かりで、敷布団の上で、寝間着を二着と丹前を重ねて着せ、湯たんぽを入れ、上から毛布と掛布団を被せた。モンタが心配そうに、幸世の顔を撫でていた。建一が、車の中に置いて有った幸世のバックを、持って来た。幸世の昏睡状態は、一昼夜続いた。建一は寝ずに看病した。モンタも起きていた。総一郎だけは、囲炉裏端で居眠りを、してしまった。翌朝の9時頃、幸世のバックの中の携帯電話が鳴った。建一が、躊躇しながら電話に出た。「霊園の者です
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