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ありがとう!(U建一の半生)
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ャプテンは「何ですか?」と、聞いた。「息子の建一はガタイ大きいが、優しいだけで度胸に無い性質です。建一の気の弱さを、克服したいと思います。建一に、空手を教えてくれませんか?」と、総一郎が言った。キャプテンは暫く考えて「分かりました。私は高校生活も残り半年です。早川さんとは何かの縁です。出来る限り、やってみます。日曜日は、学校の方針で部活は休みです。日曜日の度に、早川さんの家に行きます」と、了承してくれた。建一は「宜しくお願いします」と、言った。キャプテンは「以前から、自分は高校を卒業したら、警察学校に入学して、警察官に成ろうと思います。自分は、正義感の強い人間ですから。今回、知らされました。警察官なら公務で空手を使えます」と、笑いながら、自分の進路を話してくれた。建一は、総一郎の交通事故の件や、今回のキャプテンの障害事件の件で、若干、警察に不信感を持っていたが、キャプテンの様な警察官なら、警察が刷新出来ると思った。かくして早川家では、日曜日、キャプテンの指導で、建一の空手の特訓が始まった。建一は、キャプテンに憬れを抱く様になり、毎日深夜まで、自らでも、自宅で猛練習した。練習に、総一郎の木工製品の切れ端は、大いに役立った。建一の空手の上達は目覚ましく、半年後には段を取るレベルまで達した。建一は、バスでの件から、有段の空手は、凶器として認識される事を知った。建一は、敢えて有段試験に臨まなかった。野球部監督の[勉強も頑張り、部活も頑張る、けじめが必要だ]の、考えは校長も同様で、学業に支障の出る部活は、好まなかった。部活は、学業が終わった放課後のみで、夜間や日曜日の部活は、禁止された。それでも野球部は、県大会で準々決勝まで勝ち上がった。建一は打撃が良く、四番でキャッチャーだった。クリスマプレゼントの黒色のバットは、建一の打撃に貢献した。
建一は高校を卒業して、塚本工務店鰍ノ就職した。それは「総さんには色々、世話になった。息子さんには、是非、当社に勤めて欲しい」と云う、人情家社長・塚本一郎の総一郎に対する温情だった。総一郎にも、赤子の建一に、名前を付けた時[将来、建一が建築関係に従事して、信頼出来る一番の建物を造って欲しい]と云う、願いが有った。建一が、塚本工務店に勤め始めてから数年後、社長の一人娘・塚本久子が専務に就任した。久子は大学を卒業して、一端、市内の建築設計事務所に勤めた後、父親の塚本工務店鰍ノ入社した。久子は入社後、塚本工務店の社員の中に、総一郎の息子・建一が居る事が分かった。久子は、総一郎の事故の原因が、自分で或る事を認識していたが、自分の車とナンバーまでは、総一郎は知っていないと思っていた。久子の愛車は、今も、事故当時の赤いスポーツカーだった。しかし久子は、万が一、原因が発覚する事を恐れ、建一を自分より遠ざけたかった。建一は[家は、人の一生の財産だ。
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