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ありがとう!(U建一の半生)
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じ高校の、三年生の空手部のキャプテンだった。車内の騒ぎを感じた運転手は、バスを道路際に停め、携帯電話で警察に通報した。キャプテンは「ここは、老人や身障者の優先席です。立って下さい」と、若者に言った。パンチパーマの二人の若者は「何だ、このクソ餓鬼は」と、叫び立ち上がり、キャプテンの胸元を掴み、殴り掛かった。瞬間、キャプテンの突きの一撃が、二人の顔面に、蹴りが腹に入った。二人の若者は、床に仰け反って倒れ、顔は腫れあがり、血を流していた。間を置いて、バス乗客の拍手が起きた。音二台のパトカーが、赤色灯を付け、バスの前後に停車した。警察官が車内に入り、救急車を手配した。音間も無く救急車が来て、二人の若者を乗せ走り去った。相手が殴り掛かったのに対しての、キャプテンの完全なる正当防衛だった。警察官が、キャプテンを連行しようとした。建一と総一郎は事情を説明し、警察官に連行しない様に説得した。乗客もバスの運転手も、懇願した。バスの運行時間の遅れに、異議を唱える乗客は、一人も居なかった。警察官は「傷害事件の現行犯なので、そう云う訳にはいかない」と、言って、キャプテンをパトカーに乗せ、連行した。音[正義を遂行した者が捕まる]建一は矛盾を感じた。建一と総一郎は急遽、バスを降りタクシーを停めた。二人は、タクシーに乗り換え、パトカーの後を追った。警察署に着いて、キャプテンの面会を要求したが、取り調べ中と言われ、拒否された。7
翌日の月曜日、建一と総一郎は高校に行き、校長と教頭に、昨日の事を説明し、キャプテンの解放要求を求めた。校長は「彼は優等生で、文武に冴えていて正義感の強い学生だ。学校としても全力を注ぐ」と、約束してくれた。キャプテンは、空手の有段者で或る為、彼の手足は凶器と扱われた。学校側からの嘆願も実り、未成年の初犯なので、彼は48時間の身柄拘束と保護観察の処分に終わった。警察署から戻り、高校の玄関にキャプテンが現れた時、集まっていた当時のバスの乗客や、同校の生徒から、万歳の三唱が響いた。玄関前で校長が、キャプテンの片手を高く上げ、キャプテンの両親が、皆に深々と頭を下げていた。建一は、矛盾と絆を同時に感じていた。横にいる総一郎の目に、涙が浮かんでいた。総一郎は「有難う御座います。有難う御座います」と、何度もキャプテンに礼を言った。キャプテンは、一躍、学校のヒーローになった。三日後、建一と総一郎は、バスで遭遇した件で、空手部の練習場を訪れた。有段者のキャプテンは、下級生に空手の指導をしていた。建一と総一郎は、キャプテンに改めて礼を言った。総一郎の手には、空手をモチーフに作った、木工製品が有った。総一郎がキャプテンに、木工製品を渡した。キャプテンは木工製品を手にし「有難う御座います。自分は当たり前の事を、しただけです」と、言った。総一郎が、キャプテンに言った。「お願いが有ります」キ
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