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ありがとう!(U建一の半生)
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た。町は全国で有名になり、荒井町長の人気は、衰退していった。ボランティア達は、村人達の家に寝泊まりして、作業に従事した。モンタは、マスメディアによって知れ渡り、ボランティアの人達にも大人気だった。野生動物の餌場は、彼等の支援も有って、見事に完成した。建一も総一郎も村人達も[世の中には、慈悲深く親切な人も、沢山いるな]と実感し、絆を感じていた。ボランティア達が帰り、暫くして問題が起きた。折角、野生動物の為に作付けした種芋や、果実の苗木が、成長しない内に、野生動物に食い荒らされた。建一達は苦慮した。作付けも植樹も、再度、やり直しになった。建一達は作物が成長しない迄、餌場に仮設の囲いを設けた。苦難の連続だったが、誰も文句を言う村人は、居なかった。9
その頃、以前、総一郎と建一が住んで居た隣の市から、[新規に道の駅を造ったので出店して欲しい]との、依頼が舞い込んだ。隣の市でも、建一達の事は、話題になっていた。建一は村人達と話し合い、出店要請を受ける事にした。数日後、建一は集落の老人と一緒に、二台の軽トラックに分乗して道の駅に向かった。以後、建一は道の駅に週二回程、出店する様になった。山菜とキノコの販売は、道の駅では対抗馬が無く好評だった。初日の販売を終え、建一は、場所代を差引いた売上金を預ける、新規の通帳が欲しかった。帰り道、地元の地方銀行の支店の看板が目に入った。建一は、支店の駐車場に白い軽トラックを止め、支店の入り口にモンタをロープで繋ぎ、店内に入った。♪三番窓口に、感じの良い女子行員が居た。建一は「新しく通帳を作りたい」と、言った。女子行員は「新規の通帳ですね。あちらのテーブルに用紙が有りますので、記入して、こちらの窓口に提出して下さい」と、優しい笑顔で答えた。胸の名札に、高木幸世と記してあり、彼女の写真も載っていた。建一は、幸世の指示通り、印鑑と運転免許書と現金五万円を差し出した。建一は入金伝票に日付・名前・五万円を書き幸世に渡した。指示に従い建一はソファーに掛けて、手続きを待った。建一は優しい笑顔の幸世に見とれていた。建一は呼ばれ、窓口に行った。「新しく通帳が出来ましたので、お渡しします。入金金額を確かめて下さい。印鑑も御返しします。早川さんの子猿さんですか?」と、幸世が言った。建一が通帳と印鑑を、バックに入れながら「そうです」と、答えた。「触っても良いですか?」と、幸世が聞いたら「いいよ」と、建一が答えた。幸世が席を外し、支店の入り口に行った。他の女子行員も二人、支店の入り口に行った。建一が入り口に繋いであったロープを解いたら、子猿は建一の胸に抱き付いた。幸世と二人の女子行員が、子猿の名前を聞いた。「モンタ」と、建一は答えた。幸世と二人の女子行員は「モンタちゃん、可愛い」と言って、モンタの頭を撫でた。五分位して「また来るから」と、建一が言って、支店前の
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