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ありがとう!(U建一の半生)
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えよう」と、建一が言った。色々な意見が出た。長老が発言した。「人間も動物も、食い物は死活問題だ」村人達が「そうだ、そうだ、動物に食い物が有れば良いのだ」と、言った。「集落には、休耕している畑が沢山ある。その畑に、動物達の食い物を作れば良い。人間の畑は動物達に荒らされない様に、強固な囲いを造る。動物達の畑には、作付けだけで、手入れや収穫の手間は無い、今まで捨てていた、規格外の作物を、野生動物の餌場に運べば良い」と、村人達が口々に言った。建一が、以前から考えていた対策と、全く同じだった。山村全体には、傾斜地が多いので、水田は殆ど無く、代りに、各々の集落には果樹園や畑は多かった。しかし、人手不足の為、大半が放置されていた。「でも、農作業中に動物に襲われるかも?」と、村人が言った。総一郎が「本来、動物は人間が怖いのだ。動物の習性を皆が解っていれば大丈夫だ」と、言って、パソコンで、野生動物の習性を調べ始めた。村人の一人が、心配そうに発言した。「強固な囲いを造るのは、多額の費用が掛かるのでは?」別の村人が「町役場に行って費用を出して貰おう。ゴルフ場の建設には、町にも責任が有るから」と、言った。建一と総一郎は、村人達の絆を感じた。翌日、建一は村人達数人と、町役場へ陳情に行った。町民相談室や財政課などを、たらい回しされ、ようやく担当部署に辿り着いた。担当課長に事情を話し嘆願した。「ゴルフ場は、町長の肝いりの施策であり、町に取っても貴重な収入源です。囲いを造る費用は、町では出せません。野生動物を駆除した方が、安上がりです。猟友会に頼んで、駆除を強化します。駆除すれば、毛皮は、町の収入の足しに成ります」と、言う、残酷で非情な回答だった。建一も村人達も、町の行政に、矛盾と憤り(いきどおり)を感じた。総一郎の家に戻った建一と村人達は「こう成ったら、実力行使しかない」と、次々に叫んだ。数日後、村人達はゴルフ場に繋がる道を封鎖した。村人達の手には[ゴルフ場は要らない][生態系の崩壊だ][野生動物との共存][自然破壊だ]などの,色々なプラカードが有った。町は警察に通報した。村人達と警察官との間に、睨みあいが続いた。村人達の顔には[野生動物の為に、頑張ろう]と、云う,生き生きとした表情が漲っていた。且つ、目的を持った老人達は、以前より、数段若く、見えた。三・四日して、警察は封鎖を撤去し、村人達を強制排除した。村人達は抵抗し、警察官と揉み合いになった。騒ぎは、テレビやネットを通じ、全国に知れ渡った。建一達の元に、自然保護団体や動物保護団体から、義援金が集まる様になり、中には海外からの送金も有った。村人達は、お礼の手紙を書くのに追われ、総一郎のパソコンとプリンターが、威力を示しめした。それどころか[囲い造りや、動物達の餌畑の作付けや、果実の植樹に協力したい]と、云う、ボランティア達が集まりだし
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